もう僕の出る幕はない





あたしは学校の裏山が好きだった。よくサボにいく場所で、でもだんだん違う理由で行くようになった。











「なんばしよっと?」
「あ!千歳!」










3年に進級したと同時に裏山に転入生の千歳がよくくるようになって、あたしたちはすぐ友達になった。彼はよくぼーっと空を眺めたりしてしゃべる方ではなかったけど、なんだか隣にいて居心地がよかった。









「名前もサボり魔たいね〜」
「あたしはサボリじゃなくて休憩」
「なんねそれ」








千歳はあたしの隣に座ってごろんと寝ころび始めた。背が高くて格好良くて、あたしはいつの間にか彼のことを好きになっていた。こんな風に隣に寝っ転がられるとだきつきたくなっちゃうよ

















「…あれ…」








また次の日もあたしは裏山に来ていた。しかし千歳はこなかった。いつの間にかチャイムが鳴り、結局あたしは一人でこの一時間すごしてしまった。めずらしいなあ。なんでこないんだろう。まじめに授業に出てるのかな。

















「え?千歳君ならいないけど」
「…え」










気になったから千歳の教室まで行ってみたがどうやら授業には出ていなかったらしい。じゃあどこにいるんだろう。学校に来てないのかな。





あたしは千歳が行きそうな所に目星をつけて探し回った。とりあえず保健室はいなかった。ていうか白石君いたし。いろんなところを探し回って、最後にたどりついたのは








「…屋上…」










階段を上っていくと微かに屋上のドアが開いていた。少しだけのぞいてみるとそこには千歳の姿が。そしてもう一人、いた












「…なんで…」






そこにはテニス部のマネージャーの子がいた。たしかミスコンで毎年優勝するすごく美人な子。なんで二人でいるんだろう。別に付き合ってるわけじゃないよね。だって彼女ものすごく人見知りで無愛想だって聞いたし。…でも千歳は…最近裏山に来なかったのは多分これが理由だろう。










「…なんでだよ」










なんとなくこのころからわかってたんだ。




もう僕の出る幕はない
敵が悪すぎるよ

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