楽しいこと
別に今の生活が嫌なわけではない。成績は優秀で親にも苦労をかけた覚えはない。友達も適度にいる普通の学校生活。だけど時にはその普通さがあたしを恐ろしく思わせた。もうすぐ夏休みになる。3年の夏休みは受験勉強をするべきなのだろが、あたしはもう推薦をもらい進路も決まっている。何の不安もない人生だ。
「…はあ、はあ」
「…もっと声小さくして」
「ん、…ぁっ」
真夏の陽射しが痛いほど照りつける屋上はめったに人は来ない。屋上の白いコンクリートの床で目が焼けそうになるほどだ。そして
今、あたしが上に乗っかっているのは彼氏ではない。はっきり言って学年でも地味な、がり勉なやつ。好きなんていう感情はもちろん無いし、知り合ったのも先程だ。
「…は、ん、あぁっ」
「もっと腰動かして」
あたしはいわれるままに激しく腰を振った。子宮に突きささるときの感覚が身体中に広がり涙がでる。その時あたしは一瞬背中に視線を感じて少しだけ目をやった。誰かと目があった気がした