星と約束



「さっむ…」

「あかんなこれ、何が地球温暖化やねん」

「…………はあ」







12月30日。どうしてあたしは謙也と二人で帰っているのだろう。答えは簡単だ。(一応)彼氏である千歳が部活にこないからだ。まあ、いつものことだけど……








「謙也のばか」

「なんやねん、失礼やで」

「………千歳は」

「さあ、いつものことやろ」





くそう、今年最後の部活帰りだっていうのに千歳はなにしてるんだろう…





「今年もう千歳とあわへんの?」

「会うよ、一応一緒に年越しの約束をした…………はず」

「あいまいやな、あ、そか、誕生日プレゼントも渡すんやろ」

「え?」

「え?」

「わ…忘れてた」

「あーあ」







どうしよう!あたしはなにをしていたのか。千歳の誕生日を忘れるなんて!ていうか千歳の誕生日?千歳って何が欲しいんだろう














「…………………」



現在12月31日八時半。結局プレゼントになやんでいるうちに千歳の誕生日になってしまったのだ。うわ―どうしよう…。でも、







千歳が貰って嬉しいものってあるだろうか







「………ないだろ…」




千歳に指輪?千歳にネックレス?なんかしっくりこないなあ。






「う〜…どうしよう…」






ピピピピ





あたしの携帯がなった。うわ、千歳からメールだ…






『今日夕方5時に.餅買ってきて』






残り時間はわずかだ


















ピンポーン





あたしは今千歳のアパートのチャイムをおした。手ぶらで。手ぶらで!結局プレゼント決まらなかったよ―。どうしよー






「名前」

「あ…あはは、明けましておめでとー…」

「まだ年あけてなかよ。今日もさむかね―」

「あはは、…そうだね」

「中、入らんと?」

「あ、入ります」








千歳の部屋は相変わらず何にもなくて、部屋の隅っこでテレビがぽつんとついていた。







「あ」

「ん?」

「餅買ってくるの忘れた」

「ああ、よかよ。今から買いにいくたい」

「ごめん」









千歳の誕生日プレゼントは買ってないし、頼まれた餅は買ってないし、あたしはなにをしてるんだろう。もう一度マフラーと手袋をつけて千歳と一緒に外へ出た。まだ5時なのに外は真っ暗だった。







「わ、真っ暗」

「名前、足下気をつけて」

「うん」







千歳はあたしの手を握って隣に寄せてくれた。二人で道を歩くのはなんだか久々で緊張した







「星、でてる」

「住宅街は星が良く見えっとよ」

「綺麗だね」

「ああ」

「…ねえ、この星の光ってすごーく昔の光なんだって。知ってた?」

「ああ、有名な話たい」

「今はもう、あの星無いかもしれないんだよね」

「不思議やねえ」

「100年後、あたし達はなにしてるんだろう」

「さすがに115歳までは生きたくなか」

「小春とか、しぶとく生きてそう」

「…確かに」

「じゃあ、10年後はどうかな」

「25歳くらいばい」

「……あたし達どうなってるかな」

「俺は名前とずっと一緒にいたかよ」

「……………うん」






恥ずかしいこといいやがる







「………あ」

「何ね?」

「あたし今日、千歳の誕生日プレゼントもってないんだよね」

「ああ、別によかとよ」

「…千歳」

「ん」

「あたし、10年経っても、100年経っても、千歳の隣にいてあげるね」









千歳のうれしそうな顔が一瞬見えた。物じゃない誕生日プレゼントなんて都合がいいけど、形にはみえないけど、きっと千歳には伝わったはず。12月31日、あたしは約束というプレゼントをした。きっと彼は喜んでくれるだろう



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