絶対諦めない




光が長く生きられる方法を探すためにいろんな妖怪に聞きまわった

だがどいつも首を傾げるばかり…

最後には鴆一派に聞く事にしたけど


「寿命を延ばす方法ですか…」

「何か分らねぇかい?」


鴆一派でさえ頭を悩ました


「鯉伴様」

「?」

「寿命というものは、生まれてから死ぬまでの時間という意味がございます…それを延ばす事は容易な事ではないでしょう」

「分ってる…だが…もっと光の傍に居てぇんだ」

「…分りました。此方でも探してみましょう」

「すまねぇ…!恩にきるぜ」

「鯉伴様のお頼みですから」


俺もなんとか知ってそうな奴を探さなくちゃいけねぇ

待っててくれ光…必ず一緒になろうな


「鯉伴様」

「っ牛鬼?」

「そんなに慌てて何かお探しか?」

「ぁ、いやー…その」


牛鬼に言ったらまた親父に言われる

何とか誤魔化さねぇと…


「光の事でお話があるのですがお時間を宜しいですか?」

「っ…」

きっと…光の寿命の事か

もう知ってるよ親父…


「…知ってる」

「?」

「光の寿命が少ないって事」

「っ!…まさか…」

「光が教えてくれた。光にさ一緒になろうって言ったら断られて理由聞かねぇと納得しねぇって言ったら教えてくれたよ」

「鯉伴様…」

「でも俺は諦めねぇぜ?絶対ぇ光が長く生きられる方法を探す。光と約束したんだ。俺が長く生きられる方法見つけたら一緒になろうって」

「命を延ばす事など出来ると申されるのか?」

「牛鬼よ」

「?」

「惚れた女いねぇだろ?」

「!…」


図星…か

だからお前には分らねぇ…俺の気持ちは


「本気で惚れた女だからこそ何かしてぇんだ」

「…」

「光がこのまま消えていく姿を指くわえて見てろだなんて俺ぁ出来ねぇ…」


こうしてる間にも光の寿命は少しずつ削られていくんだ


「親父が俺の事を思ってあんな事言ったのは良く分った…だが俺は諦めねぇ」

「鯉伴様」

「…親父にそう伝えてくれや。じゃーな」


親父、俺だってアンタの辛い思いは知ってんだよ。お袋が亡くなった時の事今でも覚えてる

凄ぇ落ち込んでたよな親父…親父は俺にも同じ思いをしてほしくないと思って言ってくれたんだろうがそれは違うと思うんだ

惚れた女を放っておく事なんか出来ねぇ…悪ぃな親父


「…っ」


俺…何かしてねぇと駄目なんだよ

動いてねぇと嫌な方向ばっかり考えちまうんだ…


























「――…そうか。鯉伴既に知っていたか」

「あんな強気な事を申されていましたが…心の奥では辛くて仕方ないでしょうな」

「親なのになんもしてやれねぇなんて…駄目な父親じゃな…のう、桜姫」

「妖様…もし、私が死んでしまったらどうします?」

「…」

「あ、今すぐではありませんよ!遅かれ早かれ私はいつか死にます…その時妖様はどうするのかと…」

「何言うとるんじゃ桜姫…ワシはアンタが居なくなったら生きてゆけん」

「…妖様…」

「桜姫…何故そんな事言うんじゃ」

「…忘れないで居てほしいんです」

「っ」

「私がこの世から消えても…ずっと妖様の中で生き続けます…だから私を忘れないでほしいのです」

「ワシは忘れたりなどせん。ずっと桜姫を想っておる…何百年もこの先ずっと、じゃ」

「妖様…―――」


「――…牛鬼」

「はい」

「少しの間鯉伴の好きにさせておこう」

「総大将」

「これは鯉伴と光の問題じゃ」