利用という頼み





「それでな?そん時おばさんがわぁ!って大声出してな」

「ふふ舞ちゃん面白い」

「ウチは椿の方が面白い思うで?」

「なんで?」

「何となく」

「何それー」


舞ちゃんとお昼休みを過ごすようになってとても楽しくなった

舞ちゃんと友達になれて良かった


「君が近藤椿さん?」

「え?」

「こんにちは。俺C組の幸村精市っていうんだ」

「…こんに、ちは…?」


男子に声をかけられたの初めて…というかこの人男性、だよね?顔が冬史郎さんくらい美人で…

あ、冬史郎さんって言う人は桜田組とは仲が良い徳江組々長さん。でも冬史郎さんは身体が弱いからここ4年ぐらいは入院生活を余儀なくされてる


「アンタは確かテニス部部長の幸村」

「やぁ君が宝月さんか。ブン太と仁王がお世話になってるね」

「…で?なんなん?女の子の会話に水差して」

「ごめんごめん。ちょっと近藤さんに用があって」

「私?」

「ちょっと彼女借りるよ」

「え、まっ…っ!」

「ちょっ待ちぃ!」


返事も待たずに幸村君に腕を引っ張られて連れて行かれた

舞ちゃんは止めようとしたけど男子の力に敵う筈ない


「あ、あの幸村君…何?」

「ごめんね…その、お願いがあるんだ」

「え?」

「良かったら俺たちテニス部のマネージャーをしてほしいんだ」


…マネージャー…?

来てしまったよ舞ちゃん。どうしよう舞ちゃんの予想的中

やっぱり私に来ちゃった…舞ちゃんは絶対なるなって言ってたし…悪いけどここは


「ご、ごめん…マネージャーは、ちょっと」

「っ…どうしてだい?」

「えっ…そ、それは…その」


ど、どうしよう…断る理由がない

……あ!そういえば


「た、確かマネージャーもう一人居たよね?」

「だからお願いしてるんだ」

「え?」

「確かにテニス部には既にマネージャーは居る…でも最近仕事忙しいみたいでね。一人じゃキツイかなって思って…出来れば近藤さん詩織のサポートしてほしいんだ」

「…どうして私なの…?」


サポートなら他の人でも良いと思う

よりによって転校してきたばかりの私だなんて


「自慢じゃあないけどテニス部のファンクラブって知ってる?」

「う、ん」

「マネージャー募集すると殆どがファンクラブの子がくるんだ。俺達は真面目に練習をしている。男目当てで入られて仕事が出来ないじゃあ詩織も俺たちも困る」

「…」

「でも君は俺達に興味なさそうだし、仕事も真面目にやってくれそうだから頼んでいるんだ…もう君しかいないんだ。お願い…近藤さん」


…そこまで言われたら…もう断れない

ごめん、舞ちゃん


「そこまで…言うなら…私やります」

「本当かい!?有難う!」

「一人じゃあ大変だもんね…うん」

「それじゃあ放課後迎えに行くね!本当に有難う近藤さん!」


あんな笑顔を見せられたら断れません

こういう私って…お人好しですか?

以前の中学校で委員会の時誰も副部長やる人いなくて私がやる事になったって兄さんに話したら

「お前…お人好し過ぎだろうが。やりたくねぇ事を誰もやる人いねぇからってお前がやらなくて良いんだぞ?」

…って……………なんだか視線が…?


「…」

「…今の男誰ですかお嬢…?」

「そ、宗助さん…!?え、えと…そ、そのー」


この人は高村宗助さん。私が小さい頃から側近をしてくれてるの

今回も学校の清掃員として私を影から(?)見守ってくれてます……じゃなくて!見つかっちゃった!


「何お願いされてたんですか?」

「その…テニス部のマネージャー」

「お嬢やるんすか?」

「…う、うん…なんだか困ってたみたいだから」

「はぁ…また若にお人好しって言われますよ」

「だ、だから兄さんには黙っててほしいの」

「どうして」

「兄さん達は仕事があるでしょ?私の事で心配かけさせたくないし…」

「部活の件はどうするんすか?」

「適当に園芸部に入ったって言う」

「あの方に嘘が通せるとでも…?」

「思ってないけど……でもお願い!」

「…はいはい。お嬢の頼みですからね…俺も何とか合わせますよ」

「有難う宗助さん」

「でも…辛くなったらすぐ言って下さいよ」

「うん」


やっぱり宗助さんは優しい

有難う…











「ヘックシッ!」

「ちょっと汚いじゃない」

「慈雨酷ぇ…ティッシュティッシュ」

「誰かが若の噂でもしてるんじゃない?」

「あ、じゃあ椿だな」

「シスコン」

「失礼だなおい。妹思いって言え」



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