「これで終わりなんて…ありませんッ!!」

バァンッ!

「良いじゃねぇかい。みんな仲良く仲直りしたんだからさー」

「良いですか?竜輝様。椿様を侮辱する行為…即ち桜田組が侮辱されたと同じなんですよ?それ相当なおとしまえをつけさせるべきです」

「子供にか?」

「子供も大人も関係ありません!」

「もう良いじゃん。子供の喧嘩に大人が口出す事じゃねぇって。椿が許すっつーんだから許してやれよ」

「竜輝様は甘すぎます」

「あのー…お二方」

「なんですか?宗助」

「せめてー…席外してそういうの話してもらえると有り難いというか…」

『…』


そういやぁ目の前に全員揃ってたな。

椿もその友達も全員…俺は別に良いんだよ。確かにヤクザは子供にも厳しいよ?でもよ、子供の喧嘩にまで口出すっつーのは間違ってると思うんだけど


「こういうのは隠れて話す事ではありません」

「…」

「…あーもう分った分った。そんじゃあ全員の小指一本つー事で」

『!?』


後ろにあった小刀を鞘から抜きながら言えば子供は怯える

まぁビビリやせておけば子供は大人しくなると思ったが椿が慌てて前に出て


「ち、ちょっと待って兄さん!私はもう気にしてないから!」

「良いんだ近藤さん。それで済むなら俺達は」

「冗談だよ冗談。これに懲りてもう悪い事はしないってんなら良い………うわー紅葉さんが超怖ぇ顔でこっちを…」


そのとき、外からドタドタと聞こえて来て勢い良く襖がスパーンと開いた

そこには見覚えのある奴がいた。誰だっけ…えーと…あ、そうだこいつ


「宝月舞!久しぶりの登場やー!」

「舞ちゃん!?」

「宝月さん!なんでここにっ」

「なんや幸村達が危ないって聞いてなぁ。ここはウチの出番思うてこうして来たんyガシッ

「宝月一家がのこのこと入ってきやがって…おーい!眞澄ぃ!!どう言う事だこれはぁ!」

「す、すいませえええんっ!!」


宗助が宝月の娘の頭を鷲掴みにして外へズリズリと引っ張ってった。

宝月の娘は「い、痛っいた、痛いっちゅーねん!」と言いながら暴れてた。前髪上げてるから気付くのが遅かったがあの猫目はそうだ。

全員唖然と見るしかなかった。それからしばらくして宗助の手から逃れた宝月の娘が再び現れた


「ぜーはー…桜田竜輝〜ウチの話聞いtガシッ

「はい。部外者はお帰りしようねー」

「またかあああいっ!」

スゥッ

「若…少し良い、ですか…?」

「どうした。京次郎」


今度は聖に頭を鷲掴みにされて引っ張られていった。つーかあいつ何しに来たんだよ

その時京次郎が俺を呼んで俺は一旦外へ出た。手紙を渡されて中身を見て俺は思いついたんだ

こういうおとしまえも有りかな…と。


「ご、ごめんなさい。みんな…本当は良い人達なんだけど…」

「先輩のせいじゃないっすよ」

「元々は俺たちがまいた種だ」

「どの家族だって…許せないよ」

「でもマジで小指切られるかと思ったぜぃ…」

「我慢我慢」

(…若)

スゥッ

「皆さ〜ん。わざわざ暑い中ご苦労様。はい、麦茶」

「え!あ、いや」

「後でゼリーも持ってくるから良かったら食べて感想聞かせてね」

「…薫さん…」

「薫さん。今の状況分ってます?」

「え?遊びに来てくれたんじゃないの?お嬢が初めてお友達連れてきたからつい嬉しくって」

「ガクッ!」

「あー!ゼリー苦手な子とか居る?居たら違うものにするけど!」

「ぁ、と…好きです!」


スゥッ

再び部屋に戻るとなんか賑やかになってた。

嗚呼薫さんのお陰か。少し場が和んで助かった。先に言っておいて良かったよ、場の雰囲気がやばくなったら入ってなんか適当に行ってほしいって頼んでおいて正解


「よぉし!たった今お前達をどうおとしまえつけさせるか決まった」

「兄さん」

「…なんでも言って下さい。俺達覚悟は出来てます」

「……今週の日曜、近くの空き地に来てくれや」

「…え?」

「どういう」

「来たら説明する。良いかい?必ず来いよ。来なかったら家にまで押し掛けるからな」

「は、はぃ」

「そんじゃあ話はここまでだ。後は好きにしてくれ」

「竜輝様!」


俺はその場を後にした。

現役中学生でしかも運動部なら必ず期待にこたえてくれるだろうよ。頼むぜ



幸村side―


「どういう事だ?」

「なんで空き地なんて…」

「まさかフルボッコ…?」

「ひいいい!」

「でも、行くしかないよね」

「…あぁ」

スゥッ

「お待たせ〜。食べて感想を聞かせて頂戴」

「え」


そう言って俺達の前に女性の方が本当にゼリーを置いた。綺麗な透明感溢れる紫。これは…ブドウ、かな?

持ってきた女性はずっと笑顔で待ってる。でも…俺達は食べて良いか…不安で


「遠慮せずに食べなさいよ」

「っ」

「別に毒なんか入ってないわよ。薫は只食べてほしいから持ってきただけ」

「みんな、どうぞ。薫さんのゼリー美味しいんだよ」

「…それ、じゃあ」


俺達は恐る恐るゼリーを口にいれ食べた。とても美味しかった。口の中にブドウの香りが広がってブドウ本来の味が出てる。それに冷たくてまだ少し暑いこの時期には本当に美味しく食べられる。

みんな顔を見合わせると笑顔になった


「どうかしら?」

「と、とっても美味しいです!」

「まぁ良かったわぁ」

「…ご趣味でお作りに?」

「えぇ。昔からお菓子とか作るのが大好きでいつも作っては食べてもらってるの」


なんて優しい人なんだろうか。笑顔がとても穏やかで彼女が部屋に来てから場の雰囲気が穏やかになった。

何故こんな人もヤクザの世界へと入ったんだろうか。気になるけど聞けない…なんだか聞いてはいけない感じがして

ドタドタドタッ!スパーンッ!


「桜田竜輝ー!!ウチの話聞けえええ!」

「もう居ないわよ」

「何いいい!?」

「…宝月先輩…」

「なんでや…うぅっ」

「というか宝月一家が何の用よ」

「え、宝月もヤクザだったのかよ!?」

「おん。ウチは西日本代表、宝月一家27代目組長宝月源二の娘や。今は家出中やけどな」

「えええ」

「まぁ無事で良かったわ」

「心配してくれてたの?」

「一応な。相手は天下の桜田組や。晒し首におうてへんか心配やってん」

「ま、江戸の頃はそういうのやってたって聞いてるわ」

「…ぅえ」

「舞ちゃんは兄さんに何の用だったの?」

「椿ー。そんな知っとる事言わんで〜。勿論!桜田組と宝月一家で同盟組まんかっちゅー話や!」


ピキンッ

何かが崩れる音が聞こえた気が…

そう思った瞬間、いろんなヤクザの人が出てきて宝月さんを睨んだ。凄く怖くて俺達もどうして良いか分らなかった


「良い度胸してんじゃねぇか」

「え?やっぱ無理?」

「無理に決まってるわああああ!!!」

「ぎゃあああ!」

「逃がすんじゃないわよ!絶対なんか裏がありそう!」

「裏なんかないいい!ウチは親父とは違うんやああ!」

『…ι』

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