一体どうすれば良いんだろう……


『…』

「どうしたの?ほら、お嬢のお見舞いに来たんでしょ?行きなよ」

「…赤也。どこが人数で勝てるって?」

「…うぅ…!須川さん酷いっす!」

「あはは」


近藤さんの病室付近へと行けば…そこにはとてつもなくガラの悪い…いわゆるやくざと言うのだろうか、そういう人が沢山居た

俺たちが来たと同時にこっちを睨んできた。凄く怖い……あれ?というかこれってまさか近藤さんって…!


「おい聖ぃ!餓鬼どもがなんでいやがんだ?」

「お嬢のお見舞いだって」

「お見舞いいいい!?」

「ちょっと。病院では静かにしなさいよ」

「姐さん!」

「お嬢のお見舞いに来てくれたのに睨んでいては進めないですよ」

「わざわざお見舞いに来てくれて有難うね。どーぞ」

「ぁ…は、ぁ」


優しい笑顔を向けて言う女性に俺達は戸惑いながら病室に近付いた。数えても数十人はいるだろう

本物のやくざを見るなんて…でも、さっきからお嬢って…近藤さんはやくざの娘だったのかい?

ノックをして声が聞こえたからガラッと病室へ入ると、近藤さんともう1人…詩織の好きな人が居た…


「…うぅ…寝すぎて節々が痛い…」

「夜更かしの罰だろうが」

「…若」

「?…あぁ来たか」

「兄さん…」

「あー俺等は外にいるから好きなだけ話してくれや」

「…は、い」


これでこの空間には、俺達と近藤さんしか居なくなった

気まずい雰囲気が続く…それを破ったのは赤也だった


「椿先輩。目ぇ覚めたんすね!良かったー」

「あ、えと…それね?ずっと意識不明なのは…嘘」

『え』

「最近寝不足だったみたいで…起きるのが遅かったみたい、だけ」

「たるんどーるっ!!」

バサッ

「ぶはっ!?」

『ええええ!?』


それを聞いた真田は近藤さんが休んでる間溜まってたプリントを持ってきたのだけどそれを彼女目掛けて投げた

プリントは彼女に命中しバサバサとあちらこちらへ落ちていく


「寝不足などたるんどる証拠だ!心配したんだぞこっちは!」

「うぅ…面目ありません…」

「ふ、副部長!無事だったんすから良いじゃないっすか!……あ、これプリントっす」

「…うん」

「……近藤さん」

「…あ」

「…」

「椿ちゃん…」

「っ」

『ごめんなさいっ!!』

「…へ?」


俺達は頭を下げて謝った

許してもらえるなんて思わない…でも、謝りたいんだ。俺達のした事は本当にいけない事で…

数分くらい沈黙が続いた時


「か、顔上げて!も、もう良いから!」

「でもっ」

「もう大丈夫だから。謝らないで」

「椿ちゃん…本当にごめんね。私のっせいで…」

「日向さん。私の方こそ悪かったよ。早く言えば良かったのに」


彼女はどうしてこんなにも優しいんだろうか

普通なら許す筈ないのに…

それからは色々話した。謝りながらも話して……楽しかった


「みんな…聞いて欲しい事があるの」

「どうしたんだい?詩織」

「私…昨日あの人から話を聞いて考えたの」

「…」
「私……マネージャー辞めようと思う」

『!?』

「な、なんでだよ!詩織!」

「そうっすよ!どうしたんすか!」

「今回、私のせいでこんな事が起きて…だから辞める」

「そんな」

「それで精市。立海の掟にもう一度マネージャー禁止を入れて。またこんな事が起きないために」

「…あぁ」

「何の話をしたの?」

「須川さんから聞く事だな」


多分、その掟が無くなったのは顧問が変わったからだ。それじゃあこれからは顧問が変わっても無くならない様にしよう

二度とこんな過ちを繰り返さないためにも…須川さんに話を聞いて良かったと思う。辛い過去だったけど俺達のためになった


「でも辞めても友達でいてくれるかな?」

「勿論だ」

「応援来てくれよ!」

「うん!椿ちゃん!一緒に応援行こうね!」

「うん」

「やっと元のテニス部に戻ったっすね。副部長」

「あぁ。そうだな」



















「椿様ああああ!!」

「うわー!紅葉さんんん!?」

「お怪我なさったとお聞きして名古屋から急いで帰って来ましたああ!ご心配したんですよ!」

「し、心配かけちゃったことはあ、謝るから泣き止んで!シーツが涙とは、鼻水で…!」

「え?何。お宅等園芸部じゃなかったのかい?」

「…え」

「わ、若。知らなかったんですか?」

「椿から園芸部って聞いて…うわー妹に騙されたよ、おい」

「若。普通すぐに気付くもんですよ」

「知らなかったの若だけですもんね」

「えー」
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テーマ「人外ファンタジー」
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