「そう、それは俺が中学1年の頃のお話です―――」












俺はテニスが大好きで立海に入ってテニス部で活躍することが夢でした


「一年生、大分入ったなぁ」

「よし!自己紹介だ!」


当時は一年生は20人近く入ったかな?

当時から立海テニス部は人気だったねぇ


「1年C組、須川聖です。強くなって将来プロとして活躍するのが夢です。先輩達の技術盗んでいこうと思うのでよろしくお願いします!」

「おっ強気な1年だなぁ。みんなー!盗まれないよう気をつけろよー!」

『あはははっ』


その中には勿論"マネージャー"も居たね


「最後にうちのマネージャーを紹介する」

「初めまして。3年A組の井上です。皆さんのサポート頑張りますのでよろしくね」

「美人だろー?でも部内恋愛は禁止だから注意しとけっ!」

「須川君。マネージャーの先輩凄く綺麗だね」

「そうかな?俺はショートの方が好きだけど」

「…」


確かに綺麗という印象はあった

そのマネージャーは良く働いてくれるし準備も良いから誰もが信頼してたんだ。でも先輩は部内恋愛は禁止だと言われてても当時の副部長を好きになっちゃってね


「ほんと困るよなー」

「ずっと告白してきてんの?」

「そう。つか俺もう彼女いるし」

「誰!?」

「吹奏楽部の子ー」

「マジかよ」


その先輩は諦めなかった。何度も言い寄って振り向いてもらおうと頑張っててね

でも副部長も我慢の限界だったんだろうね。ある日みんなのいる前でさ


「うるせぇんだよ!毎日毎日!」

「…鈴、木…くん?」

「俺は何度も彼女いるっつってんだろ!?つーか部内恋愛禁止って知ってんだろうが!」

「で、でも…私本当に鈴木くんの事っめ、迷惑かけないから!だから!」

「だから、そういうのがウザイっつってんだよ!大体俺はお前の事只のマネージャーしか思ってねぇから」

「!」

「もう付きまとうなよ。練習の邪魔だから」


いくらなんでもあれは酷いかなぁとは思ったんだけど彼女も酷く付きまとってたみたいだしこれで修まるかとおもった

でも、彼女にとっては只のマネージャーといわれた事が相当ショックだったんだろうね。俺、友達と片付けしてる時聞いちゃったんだ


「…あ、井上先輩」

「?」

「何よ…こっちは暑い日も寒い日も頑張ってみんのためにドリンク作りやタオルを洗ってやってたのに…!只のマネージャー?ふざけんじゃないわよ…!」

「…うわ…」

「あれやばいんじゃないの?顔凄くマジだけど」

「…上級生の事だし俺等には関係ないよ」

「須川って冷たいね」

「そういう私情な事に首突っ込んでる程お人好しじゃないからねー」


でもあの時誰かに言っていれば良かったと思った

ある日、副部長が階段から落とされてさ…アキレス腱やっちゃってね…テニス出来なくなっちゃったんだよ

その時誰もが疑ったのはマネージャーだった。彼女は素直に自白したよ


「あいつが悪いのよ!私は毎日毎日辛い仕事頑張ってたのにそれを感謝もしないで只のマネージャーとしか思ってなくて…!!テニス出来なくなって精々した!」

「…」


全員唖然としちゃったよ。フラれたくらいでそこまで普通やるか?と思うでしょ?でも彼女はやったんだ…理由はフラれた事じゃない。感謝さえしてもらえなかったから。マネージャーはマネージャーでも影では俺達と同じくらい汗かいて仕事して、寒い日は霜焼けになっても仕事して…

彼女は感謝してほしかった。なのに誰もが当たり前のように思ってたから腹が立った…でも彼女のやった事は悪い事で、マネージャーは辞めさせられて学校も自分で退学してったよ

それ以来、テニス部ではマネージャー禁止。そういう過ちが繰り返されないように掟として守っていこうとしたんだ。当時の副部長みたいな人が出ないためにも…


――
――――
――――――


「…」

「…、」

「これが理由だよー」


ちょっと刺激が強かったかな?

全員気まずそうに只佇んでいた


「悲しい過去でしょ?だから次の犠牲者を出さないためにも禁止にしてたのに…」

「…」

「おーい。聖………な、何この重たすぎる雰囲気」

「あ、宗助さん」


その時宗助さんがやってきた…という事は


「犯人見つかったの?」

「あぁ」

「っだ、誰っすか!?」

「…」

「だ、誰、なんですか?」

「…あんたらのファンクラブとか言う奴だよ」

「!」

「転校生の癖にマネージャーになってムカついたから。だとよ理由は…こっちがムカついてるっつーの」

「…またしても俺達の所為で」

「で?どうすんの?その犯人は」

「今回は水に流すだとよ。問題になってここに報道人とかが来たらまずいだろ?」

「そっか…お人好しだね。若も」

「あぁ」


全く…妹がお人よしなら兄もお人好し、か

似ている兄妹だなぁ


「あのっ!」

「「?」」

「近藤さんのお見舞い…行ってもいいですか?」

「…俺達お見舞い行きたいんです」

「お前達さ…どの面下げて来る気だよ?」

「それは…」

「宗助さーん怖ーい」

「おい…!」

「…良いじゃん。行かせてあげれば」

「須川さん」

「でも良いの?君達今絶望を味わってるのに、お見舞いに来たら更に絶望を味わうよ?」

「…それでも俺達、近藤に謝りたい、から」

「お願いします」

「…勝手にしろ」


まぁ、彼等は彼等なりに受け止めるでしょ

まだまだ子供なんだ…変えさせてあげなくちゃね









「須川さん」

「なに?」

「何故テニスをやめてしまったんですか?」

「…」

「部長になれる程の実力をもったあなたが…何故」

「…全国大会でさ、試合中に膝怪我しちゃって…致命傷だったんだよね」

「…」

「まぁ過去は過去だし、もう気にしてないけどね」
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