次の日の放課後、いつものように練習するがみなぎこちない

仕方ない…入院した近藤さんの問題や詩織の事…他に色々考える事が山ほどある



「赤也。近藤の見舞いには行けたのか?」

「宝月先輩と行ったんすけど…追い返されました」

「そうか」

「…そんなに、近藤の具合は良くないのか?」

「そうじゃ、ないんすけどー…」

「…う、む」

「どういう事だい?」


何故か口篭る赤也と真田

言い難そうにお互い見てた。何かあったのかな?


「赤也」

「?」

「俺達も…近藤さんのお見舞い、行って良いかな?」

「え」

「追い返されたのは俺達のせいだろ?…でも、今お見舞いに行かなかったら俺達後悔しそうなんだ」

「あいつには悪い事しちまったし」

「犯人探しもしねぇとな」

「先輩…!」

「駄目か?」

「そ、そんな事ないっす!きっと椿先輩喜ぶっすよ!一緒に行きましょう!ね、真田副部長!」

「そうだな…しかし追い返されたのだろう?」

「そうっすけど…でもあの時は人数負けしちまったんで今回は大丈夫っすよ!」


そんなものなのか?と呆れそうに言う真田

久しぶりに赤也の生き生きとした明るい表情を見れてホッとした。詩織も一緒に…俺達はもう迷わない。そうだよ詩織が落とす筈ない

…だとすれば…


「近藤を落とした奴は…ファンクラブの奴が怪しいのう」

「そうだね」

「ですが闇雲に探すのは困難でしょう」

「目撃者がいないのが辛いな」


探してみようかな…

…そういえば、詩織来ないな。休憩時間なのに…





日向side―


「…若がやくざ…」


それに椿ちゃんがやくざの妹だなんて…誰に相談すれば良いのかな

この事知ってる人居ないのかな?…どうしよ


「はぁ…」

「ため息なんかついてどうしたのかな?」

「若が…やくざで、椿ちゃんがやくざの妹でどうした、ら……え?」

クルッ

「…お嬢の秘密…知っちゃったね…?」

「え」

「知っちゃった人は…どうなるか…」


後ろには清掃員の格好をした人が居て、顔は笑ってるのに目が笑ってない…

しかもお嬢って事は…まさか……私は驚きのあまり


「きゃああああ!」


大声を出してしまって、やくざがどれ程怖いか知ってるから

そしたら精市達が駆けつけてくれた


「詩織!?」

「どうした!」

「み、みんなっ…」

「清掃員…?」

「お前、詩織に何してんだよ!」

「…テニス部の子達?」

「そうですが」

「さ、真田副部長…!あの人!」

「う、うむ…」

「2人の知り合い?」

「知り合いも何も……俺は何年か前テニス部部長をしてた先輩でーす」

『え』

「でも、今はしがない清掃員のお兄さん。ってところかな?」


帽子を取ると長い三つ編みが出てきて綺麗な栗色よりも薄い綺麗な髪が出てきた

みんな唖然と見ていた


「今のテニス部がどうなってるか凄く気になっちゃってね〜こうして変装して見に来たって訳」

「…あの人は…」

「でも可笑しいなぁ。どうして男子テニス部に女の子がいるのかな?」

「そ、そりゃあ詩織は俺達のマネージャーだからだよ!」

「…」

「大体貴方が歴代部長だなんて信じ「待て」

「弦一郎?」

「おっ君は以前の」

「みんな。聞いてくれ。この人は間違いなく俺達テニス部の歴代部長の一人だ」

「ま、マジか…」

「須川聖だよー。よろしくー」

「なんで、いるんすか?」


どうして弦一郎と赤也は知ってるの?

その須川さんという人は気にせず話し始めた


「テニス部で問題があったみたいだね」

「!」

「どうして、それを」

「清掃員をしてるとね?色々噂が聞こえてくるんだよ。えーと女の子が階段から突き落とされる事件…僕その犯人知ってるんだ」

「だ、誰だよ!」

「…テニス部全員…あ、勿論マネージャーの君も入ってるから…」

『!』


急に声が低くなって怖かった…この人笑っても目が笑ってないんだもん

というか、椿ちゃんを落とした犯人がテニス部全員ってどういう事?


「な、何言ってんだよ!」

「有り得ん…!」

「あはは。犯人はまずそう言うんだよね」

「…根拠は?」

「彼女をマネージャーにさせたのは?」

「…俺、ですけど」

「可笑しいよね。良くマネージャーを入れるのを許されたよね」

「ど、どういう意味っすか?」

「本当はね?"男子テニス部はマネージャー禁止"になってたんだよ。勿論掟にもそれは入ってた」

「…」

「なのにその掟を破ってマネージャーを入れた君達の所為で今回の事が"また"起きてしまった」

「嘘…」

「だからまた禁止とされてたマネージャーを入れたお前達が今回の事件を引き起こしたんだよ」


何、言ってるの?この人…テニス部がマネージャー禁止って聞いた事がない

みんな固まっていた。誰もこの事を知らなかったと思う。


「そんな話聞いた事がありません」

「…多分顧問が変わったからじゃないかな?昔の部誌を覗いたら途中でその掟消えてたもん」

「…では、我々がマネージャーを入れなければ…近藤は階段から落とされずに済んだ、と言う事ですか?」

「うん。そう」

「…じゃあ…私が、マネージャーにならなければ…こんな事には」

「…あの」

「?」

「マネージャー禁止になった理由、あるんですよね?聞かせてくれませんか?」

「聞いてどうするの?」

「分りません…でも、知っておくべきだと思って」

「…それじゃあ少し僕の昔話に付き合ってもらおうかな」


私達は何もしらなかった

部の事なのに…全然。










「…うっ、ひっく…ごめんなさい…!」

「…何故そんな事を」

「だって、転校生のっくせに…!テニス部のマネージャーになんかっなって、ムカついて…」

「…」


「あの、若。犯人分りました…どうします?予想外れでしたよ…はい。はい…分りました」

「家族の方はなんと?」

「今回はー悔しいですけど、水に流すとの事っす」

「あ、有難うございます…!」

「ほら!お前も!」

「あ、ありっありがとう…ござい、ます…!」

「か、勘違いすんなよっ俺は許してねぇからな。只、親族がそう言っただけで…!」

「はい、はいっ…!」

「…」

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犯人見つかりました…
はい。←
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