バンッ!

「っ!」

「…詩織」

「今の話…どういう事…?」

「…」

「私がっ椿ちゃんを…階段から、落とした…って?」


みんな気まずそうな顔をしていた

誰も信じてくれないの?私落としてなんかないのに…


「ねぇ、みんな……ねぇ!」

ガタッ

「詩織」

「精市…!」

「本当の事を話してくれないか?」

「、」

「近藤さんを落としていないか、落としたか…俺は詩織の口から聞きたい」


精市…まで…

みんな私が落としたと思ってるんだ。仲間なのに…信じてくれると思ったのに


「…どうしてそんな事聞くの?」

「え」

「精市もみんなも…私を信じてくれないの?」

「い、いや!信じてるって!」

「そうだけど!…だけど」

「だけど何?結局私を疑ってるんじゃない。そうだよね私椿ちゃんの事憎んでたもん」

「…詩織」

「私帰る」

「詩織!」


もう嫌。なんで私ばっかりこんな目に合うんだろ

友達は出来ないし、好きな人は取られちゃうし…疑われるし…!

…若に会いたい…!

私は無意識に足を商店街の方へ歩いていた



「…若」


商店街をグルグル回っても若の姿は見えない

どこ?誰かに聞こうかな……私は以前若が煙管を買ったお店に聞く事にした


「あ、あの」

「?…あーいつかのお嬢さんかい」

「あ、あの…若を見ません、でしたか?」

「若かい?…そうだね。最近見かけないね…どうしたんだろ」

「…」

「ちょっと待ってておくれ。近所のお店屋さんに聞いてくるから」


優しそうなおじさんは下駄をカランカラン鳴らして向かいのお店に聞きに行ってくれた

ふと煙管を見ると思い出す…若と話したあの日…


「唯一落ち着く時間だったのに…」


そんな事思ってるとふと商店街の人の声が聞こえてきた


「あー末さん京都に行ってたから知らなかったなー」

「何かあったんですかい」

「お嬢が入院したんだよ」

「お嬢がですか!?」

「あぁ…それで若もみんなピリピリしてる状態だよ。ほんと可哀相だよなぁ」

「全くだよ。誰がお嬢を落としたんだろうね」

「…お嬢…?落とした…?」


それって…もしかして椿ちゃんの事…?

で、でもお嬢って…!


「あ、あの!」

「あぁお嬢さん」

「あの…入院してるお嬢って…まさか近藤椿ちゃん、じゃあ」

「あらぁ!お友達なの?そうなのよ…まだ目を覚まさないらしいの」

「…じ、じゃあ…若とは、どういう関係、で」

「どういう関係も何も若とお嬢は仲の良い兄妹なんだよ!年も9つ離れてるってのに羨ましい事だよ!俺んとこの兄妹はいっつも喧嘩しっぱなしでよぉ!」

「それはあんたに似たんだよ」


ウソ…じゃあ私…勘違いしてたんだ

自分の早とちりで椿ちゃんを責めて…椿ちゃんの話全然聞いてあげなくて…!


「あ、あの!有難うございました!」

「え!?」

「お、おい!どこ行くんだい!」

「椿ちゃんのお見舞いです!」


謝らなきゃ…椿ちゃんに謝らなきゃ!














「あ、あのここに近藤椿さんっていう子が入院してると聞いてきたんですけど…どこの病室ですか?」

「はい。近藤さんは…3階の302号室になります」

「有難うございます…………あ」

「?…よぉお嬢ちゃん。久しぶりだな」

「…若…」
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -