京次郎視点も初めてだ。



ピピッ

「んー…熱はありませんね。もし起きたらナースコールでお伝えください」

「…有難うございます…」


もうじき、夕方か…

お嬢早く起きて下さい…みんな、心配してます


ガラッ

「…」

「…」

「…」

「…」


病室の前に立っていようと病室を出ると見覚えらしい人物が三人立っていた

…一人はお嬢の後輩…後の二人は……


「どーもー。近藤さんが入院なさったとお聞きしたんでお見舞いに来ましたー。あ、これお花」

「…どーも…」

「…」

「…まだ、何か?」

「いや…入れてくれへんのかなーって…」

「入れる事は出来ない」

「なんでっすか!?」

「…」

「も、申し訳ございません…!」


お嬢の後輩が身を乗り出して聞いてきたから睨むとすぐ引っ込んだ

…これは、若のご命令…親族以外は入れられない


「若の、ご命令だ」

「桜田竜輝はなんて言うたんや?」

「…親族以外は、立ち入り禁止…と命令を受けた。だから、お前達をお嬢に会わす訳にはいかない…ましてや、"宝月一家"なんて」

「!?」

「舞様、知られていたみたいですよ」

「あちゃー…なんでや」

「毎年写真付きの年賀状送りつけられたら誰だって覚えてしまう」

「…あんの糞親父…何しとんのや」


大体なんで宝月一家の娘がこんな所にいる…?

宝月一家とは長い因縁で…仲が悪いらしい。西日本では有名らしいし

…桜田組程ではない……と、思う


「ほ、宝月先輩…ど、どういう…?」

「あーすまん、切原。うちもやくざの娘なんや。つまり立場上椿と似た様な感じ…せやけど違うんは、うちは次の組長候補っちゅー話や」

「舞様、本気で次期組長になるおつもりで…?」

「当たり前や!うちは親父とは違う!これからの宝月一家は違うで…せやからそれには桜田竜輝が必要で……ってちょっとアンタ!」

「…?」

「何一人で病室に戻ろうとすんねん!」

「お取り込中みたいだったから…そういうのは外でやってもらわないと…」

「なんでやねん!こっちは椿の見舞いに来たっちゅーのに!」


なんか話し込んでいたから病室に戻ろうとしたら止められてしまった

…大体さっき話したのに分らん奴だ


「お願いします!一目だけで良いんで…お願いします!」

「無理だ」

「お願いしますわ!一目だけで良いんや!」

「同じ事言っても無理だ」

「入れろ、馬鹿」

「黙れ、阿呆」

「辰二いい!?アンタは黙っとき!ややこしくなるわ!」


ここはどうする…?力尽くで追い返すか?しかしそれでは周りの患者に迷惑をかけてしまう

…じゃあこのまま面会時間が終わるまで足止めしておくか…?


「…騒がしいと思ったら…」

「「「?」」」

「…昴…」

「これ、お嬢の着替えです」

「すまない…薫は?」

「薫さんは急な用が出来てしまい途中からは私一人で…そちらは?」

「宝月一家の奴等とお嬢の後輩」

「話の分りそうな人来たあああ!」

「?」

「なぁなぁ!アンタからも言うてや。この石頭がなぁ「お嬢に面会は無理です」

「え」

「無駄な争いは止めたほうが良いでしょう。直ちにお帰りを要求します」
「更に話の分らん奴やった…!!」

「な、なんか…柳生先輩に似てる…」


良かった…昴がきてくれればこいつらも帰る…


「というより、"今は"来ない方が良いでしょう」

「なんでや?」

「今若はとても機嫌が悪いんです…だからしばらく時間を置いてからまた来て下さい」

「…」

「貴方達だって事を大きくしたくないでしょう?でしたらここは大人しく引いたほうが良い」


…昴は凄い。口下手は俺ではそんな風に言えない


「…分った。ここは一旦引いてしばらく時間置いてから出直すわ」

「…」

「良いんすか?宝月先輩」

「仕方ないやろ?…ほな、また明日来ますわ」

「……って明日じゃ意味なくないですか!」

「なんや!明日でも時間おいたやろ!?えぇやんか!」

「普通は一週間ぐらい置きますよ!」

「…」


宝月一家の娘は往生際が悪いな…

…………メモっとこう。











「舞様」

「なんや辰二!今取り込んどるんや!この分らずや眼鏡が!」

「…内科行ってきても良いですか?最近花粉症が…」

「なんでやねんんん!?」

「内科はどこだ?」

「い、一階の奥っす」

「こらあああ!辰二いいいい!!」

「ふぅ…やっと行ったか」
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テーマ「人外ファンタジー」
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