いつも通りだと思ってた


「あ、日向さん。おはよう」

「っ……」

「え」


いつもなら笑顔で挨拶してくれるのに、無視されてしまった

どうして?私、何かした?


「あ、あの…日向さん」

「…」

「私、何か日向さんに悪い事しちゃった?」

「…、」

「だとしたらちゃんと謝りたいし…」

「………くせに」

「え?」

「私の好きな人取ったくせによくそんな白々しく居られるよねっ!」


私が…日向さんの好きな人を取った?

え…まさか、兄さんと一緒に居たの見られてたの…?


「ち、違うの日向さん!あの人とは」

「何が違うの!?あんなに仲良さそうに話してたのに!」

「だからあの人と私はきょ「椿ちゃんを信じてたのに!」

「あ、日向さん!」


バンッと部室から出て行ってしまった

…どうしよ…どうしよどうしよどうしよどうしよ…!

何も考えてなかった私の責任だ…あああ!どうしよ!!


「…最低だね、君」

「!」

「詩織の好きな人知ってたくせに…あんな堂々と接して」

「ち、ちがっうの…あ、あの人は」

「何やってんの?幸村君。そんな怖い顔して」

「ブン太…ちょっとね」

「?…そういやぁ詩織凄ぇ勢いで走ってったけどどうした訳?」

「近藤さんに聞いてみれば?彼女が一番知ってるし」

「っ」

「…お前詩織に何かしたのかよ…?」

「わ、私っは…」


怖い…怖いよ、怖い

私をそんな目で見ないで…!!

ダッ!

私は気づくとその場から逃げてた。駄目、逃げちゃ駄目なのに…もっと誤解されるだけなのに…!


「…」

「幸村君?」

「…あんな奴詩織のためだからだってマネージャーにさせるんじゃなかった」

「っ」

「…」


「はぁ、はぁ!」

「椿先輩?どうしたんすかー?おーい!」


遠くで切原君の声が聞こえても足は止まらなかった

私だって頑張ってきたんだ…誰にも嫌われないように頑張ってきたのに…!

やくざの家系の子だからって偏見な目で見られるのが一番嫌い

さっきの日向さんや幸村君や丸井君の目は嫌いだ

怖くて怖くてたまらない…!


「はぁはぁ…っ、はぁ、はぁ」


水道場近くで足がガクンとなってその場に崩れた

私のせいで日向さんを傷つけた。そのせいで周りから偏見な目で見られて…

世界がグルグルと回り始める。気持ち悪い…誰か、誰か助けて!

フワァッ


「先輩」

「っ」

「山と言ったら?」

「え」

「山と言ったらなんすか?ほら!あれっすよ」

「…川」

「…じゃあ川と言ったら?」

「…綺麗」

「綺麗と言ったら?」

「ビー玉」

「ビー玉って言ったら?」

「丸い」

「丸いって言ったら?」

「飴」


後ろから抱きしめてくれてたのは切原君だった

切原君に質問されてどんどん連想していっていた。何故だか不思議に気分が軽くなってた

何分かずっとしている内に笑い合ったりもしてた


「…どうっすか?落ち着いたっすか?」

「…うん」

「これ。切原家直伝!不安な時は何でも良いから色々連想していくんすよ。そしたら段々それに気ぃ取られて不安なんてなくなっちゃうんす!」

「確かに…不安、取れたかもしれない」

「へへっ」


切原君に助けられちゃった

なんか凄く嬉しい。切原君は私がやくざの子でも普通に接してくれて…

嬉しくて、涙が出てくる…


「何かあったんすか?」

「うっ…ひっく」

「泣きたい時は泣けば良いんすよ!俺が傍に居るんで!」

「…あ、ありっがとう…!」


切原君って凄い

本当に明るい子だなぁ…私いつの間にか切原君に助けられてたんだね


「…椿せんpバキイイッ!!

「切原君んんん!?」

「いってー!クソッ誰、だ、ょ…」

「…テメェ…何お嬢を泣かせてんだよ…?」

「「!!?」」


一階の窓にとてつもない殺気を放つ宗助さんが居ました

手にはデッキブラシ…あれで切原君を殴ったみたいです


「お嬢泣かすたぁ良い度胸してんじゃねぇか?覚悟出来てんだろうなぁ…?」

「ひいいい!!」

「ちょっ、宗助さん!違うの!」

「どーんと逝こう☆後輩君☆」

「聖さんんん!?というか漢字やばいからあああ!しかも可愛く言っても怖いからあああ!」


何故か聖さんも清掃員の格好をして居た

それから宗助さんを止めるのに必死でした

聖さんは面白そうに笑いながら見てるだけだし…宗助さんは怒鳴りながら切原君の事追いかけてるし


「待てええ!クソガキ、このおおお!!」

「ぎゃああ!!」

「あはは。いやー実に面白いねー」

「と、というかなんで聖さんがこんな所に…?」

「…お嬢。"俺達"に隠してる事あるでしょ?」

「!」

「それ確かめるためにね…テニス部のマネージャーやってるんだって?」

「………う、うん…」

「可笑しいなぁ」

「?」

「…"男子テニス部は女マネ禁止"だった筈なのに…」


えっ…どう言う事?

マネージャー禁止だなんて…でも日向さん一年の頃からやってる筈なのに…


「椿先輩助けてくださいいいいい!!」

「待てコラアアア!!」

「…」


どうやって止めれば良いのだろうか

それと聖さんの言葉も気になるし…










「こらあああ!高村クン!須川クン!何サボッてんだい!」

「ゲッ!おばちゃんだ!」

「また問題起こしたら次はクビだって校長先生から言われてるでしょうが!さっさと掃除しなさいなもう!!」

「はーい。おばちゃーん」

「くそっ」
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