やっぱ怖い



「先輩!ゲーセン行きましょうよ!ゲーセン!」

「えー俺ケーキ屋行きてぇんだけど」

「えー!だから太るんすよ」

「うっせ!」

「いて!」


今日は丸井先輩と仁王先輩と帰宅

もうすぐで先輩達が引退…寂しい一面もあるけど…引退になったら椿先輩も楽になるのだろうか


「先輩」

「なんじゃ?」

「先輩達が引退したら―――ドンッ

「いでっ!」

「おい大丈夫か赤也?」

「はぁはぁ…そんな所に突っ立てんじゃねぇぞガキ!」

「はぁ!?なんだよあのおじさん!」


人にぶつかっておいて謝りもしないで走って行ってしまった

肩痛ぇっつーの


「なんだよあいつ」

「なんか慌てとったのう。あのおじさん」

「…誰かに追われてたりして」

「止めてくださいよー。近くで事件っすか?」

「そんなもんあるわけないじゃろ」


だよなー

…あ、でもあそこに川から誰かが出てきたら怖いよなー

ザバアアアアッ!!――


「…へ…?」

「さ、貞子おおおお!?」

「なんで俺の後ろに隠れるんじゃ!?」

「こん中で一番強い奴お前だろぃ!」

「阿呆!」

「どど、どうするんすか!?110番!?救急車!?」

「おお、おち、落ち着け!」

「お前が一番落ち着け!」


俺の言ったことがまさか本当になるなんて…!

つーかあの人こっち歩いてくるううう!長い髪が濡れていい具合に前に垂れてるから尚更怖いんですけどおおお!

ちょっ、副部長おおおおお!!!…………ってあの人…どこか、で…


「お、おい!赤也!」

「危ない!呪われるぜよ!」

「なんでっすか!………もしかして…須川、さん…?」

「…誰?君…」


やっぱりいいいい!?つーか俺の事忘れてるよこの人!

その睨んだ顔超怖いっす!


「ずぶ濡れじゃないっすか!良かったら俺のタオル使ってください!つーかアンタこの間俺の頭、鷲掴みにしたじゃないっすか!」

「………あーお嬢の後輩ね!良いの?有難う」

「お、おい…赤也」

「あ、丸井先輩!仁王先輩!この人俺達の先輩っすよ!」

「「はぁ?」」「何年か前テニス部の部長やってた人っすよ!」

「「えええええ!?」」

「…なんで君俺が元テニス部部長だって事知ってんの?」

「なんでってそりゃあうちの部室に写真あるし、副部長言ってたんすよ!」

「…副部長?…あの帽子被ってた人?」

「はい!」

「…」


須川さんは俺が渡したタオルで頭を拭きながら何か考えていた

すんません椿先輩…俺、何かまずい事言っちゃったみたいっす


「お、おい赤也。本当にあの人先輩なわけ?」

「はい」

「そういやぁ歴代で須川っちゅー奴聞いた事あったのう」

「でしょ!?」

「…あ、そうだ。君達」

「「「へ!?」」」

「ここら辺にガラの悪いおじさん。通らなかった?」

「…あ、そういやぁ赤也にぶつかったおじさん。結構ガラ悪かったよな?」

「お、おう」

「そいつどこに行った?」

「む、向こう…です」

「有難う」


つーか須川さん。何の仕事してんだろ?

やくざってのは知ってるけど、やくざってどんな事すんだ?


「須川さん。何やってたんすか?」

「?仕事だよ」

「おじさんを追っかけまわす?」

「そう。俺ね…期限を守らない奴嫌いなんだ」

「え?」

「君達もお金とか借りたらちゃんと期限守んないと駄目だぞ」


そう言って須川さんは行ってしまった

走り際に「このタオル後で返すからー」と言っていたけど

…お金?…


「…借金取り…!?」

「え!?」

「だって普通そうだろぃ!?おまっそんな人が俺等の先輩なわけねぇじゃん!」

「だって写真あったじゃないっすか!」

「そうだけども!」

「つか、本当にこの目で借金取りとか見るの初めてじゃ…ドラマとかしか見とらんかったし」

「…だよな」


まぁ確かに…つーか俺桜田組の屋敷に入りましたなんて言えねぇよな

つか、俺と副部長と椿先輩の秘密にしてるし


「ねぇ先輩達」

「なんだよ?」

「…いつまで椿先輩を利用するんすか?」

「「…」」

「…誰かを利用した所で何も変わらないっすよ」

「だが、詩織への呼び出しは減ったぜよ」

「!」

「そうそ。俺達は詩織が笑ってりゃあそれで良いんだよ。他なんてどうでも良いし」


…本当にマジでそれ言ってんすか?

椿先輩…俺やっぱり後輩だから何も出来ないかも

先輩には逆らえないし…でも守ってあげる事は出来るかもしれない

先輩が怖い…そんな理由で逃げるなんて卑怯だ


「…そうっすか」


それに早く先輩達に教えてあげないと…








「大変っすお嬢!」

「宗助さん!久しぶりの登場だね!」

「そうなんすよ!やっとっすよ!……ってそうじゃなくて!聖がお嬢の嘘に気づいたんすよ!」

「…ええええ!?」

「どうしますか?」

「うううう…」

「お嬢」

「「はっ!?」」
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