男の嫉妬は醜い




「若っ!!」


詩織はとても嬉しそうに大人の男性の元へ駆け寄っていった

今まで見た事のない輝いた笑顔

何故か俺は男の人に嫉妬をしていた


「っ?………おーあん時の嬢ちゃんか」

「こ、こんにちは!」

「こんにちは。今日は転ばなかったかい?」

「わ、私は毎日転ぶ程おっちょこちょいじゃありませんっ!//」

「ははっ…そうかい。そいつぁ悪かったな」


今の詩織は誰が見ても恋する乙女

じゃあ…詩織はあの人の事が好きなの?詩織って年上が好みだったの?

いけない…深く考えすぎてしまう。でも俺には只ジッと見てる事しか出来ない


「若。これが京都から取り寄せた煙管ですよ」

「へぇ…やっぱ本場は出来栄えが違ぇなぁ。おっちゃん、こいつの予約者は?」

「いやしませんよ。それは若のために取り寄せたんですから」

「マジ?」

「大マジですよ。いつも若には助けられてばかりですのでお礼です。半額にいたしますぞ」

「悪ぃないつもいつも」

「いえいえ…あ、ではお包みいたしますので少しお待ちくださいませ」

「…きせる?」

「昔の煙草みたいなもんだよ」

「若煙草吸うんですか!?」

「おう。まぁこれでも24歳だからな…それにそこら辺で売ってる煙草なんかより煙管の方が断然良いんだぜ」

「…似合います!すっごく若に似合います!!」

「…そう、かい?」


着物姿が偉く似合う男性だ…柳と良い勝負かもしれない

詩織が好きになるのも分る気がする


「あれ誰だよ」

「詩織さんを見る限り、彼に恋をしてますね」

「そんなもん見りゃあ分るぜよ」

「……あれは」

「弦一郎、知っているのか?」

「…いや」

「…」

「一番詩織の事を気にしてる幸村が嫉妬してるぜ」

「そんなんじゃないって」

「……何よあの女……(ボソッ」

『っ?』


俺達のほんの少し離れた所で着物姿の二人組みの女性が居た

その一人、黒髪でロングヘアーの女性が凄い険悪そうな目で詩織を見てた

その表情が普通の恐さとは違くて俺は少し心臓が跳ねた気がした。所謂もの凄く恐い


「若に色目使って…!餓鬼の癖にムカツク…!というか若も若よ…優しくしてるからあんな餓鬼まで寄ってくるのよ!」

「慈雨ちゃん…別に良いじゃない。楽しく話してるだけよ」

「私が言いたいのはなんであんな餓鬼にまで優しくしてんのかって事よ!私には全然優しくしてくれないのに!」

「慈雨ちゃんだからじゃない?」

「はぁ!?何よそれ!どういう意味!?」

「明日は総会なんだから買い物済ませちゃいましょう」

「ちょっと薫!……お嬢に言いつけてやるっ!」

『…』


あれまずいんじゃないの?

下手すれば学校の外でも詩織の身に危険が…!

というかあの男の人どれ程の女性に好かれてるの?


「ちょっ早く詩織連れ戻さねぇとまずくね!?」

「女の嫉妬はとてつもないと聞きますしね…」

「あ、詩織が戻ってきた」

「あれ?どうしたのみんな?」

「詩織!もう二度とあの男の人に近付いちゃ駄目だ!」

「…は?」

「俺達はお前のために言ってる」

「あいつより俺の方がカッコイイぜよ…?」

「仁王君」

「…みんな…」

「どうした?」
「私の恋愛にまで首突っ込まないでよっ!それに若はとっても優しい人なんだからっ!」

「あ、詩織!」


詩織は怒って帰ってしまった

詩織が怒ったのなんて初めてだった…只俺達は詩織のために言ったのに

なんでこうも上手く行かなくなるんだろうか…

……近藤さんが来てからだ。俺が近藤さんを選んでから全てが上手くいかなくなってる

彼女を選んだ俺が駄目だったみたいだ…

じゃあどうする?どうすれば良いんだ?










「兄さん、ここ座って」

「おいおい椿…今日はいつにも増して眉間に皺寄ってるぞ?」

「…兄さんは誰にでも優しくしすぎ。女の子なら誰にでも優しくして良いってものじゃないんだよ」

「仕方ねぇだろ?話かけてくんだから」

「まぁそれは兄さんの人柄のお陰でしょうけど…大体私と似た歳の子まで色目使うなんて…」

「なんでそうなんだよっ……あ、そういやぁ椿と同じ学校の女だったぜ?」

「え」
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