詩織の気持ち




近藤椿ちゃんという可愛い子がマネージャーになってから数日が過ぎた

彼女は真面目に取り組んでくれてこっちは大助かり

それに女の子の友達久しぶりに出来たから凄く嬉しいの

…でも椿ちゃんが羨ましい。だって…


「椿ー!おっはよー!」

「わっ舞ちゃん。おはよう」

「朝錬終わったん?」

「うん…あ、日向さんまた放課後ね」

「…うん!」

「椿宿題やってきた?」

「宿題?何それ?」

「ってああああ!椿同じクラスちゃうやん!阿呆!」

「…なんで私が怒られなきゃいけないのかな…」


あぁいう明るい友達が居る事

私の周りには居ない…居るのはいつも精市達。その中でも明るい子っていうならブン太と赤也。二人が楽しい事話してくれるから私も楽しい

でも…あぁやって女の子同士で楽しく騒いでみたい…だけどそんなの無理。私がテニス部のマネージャーである限り

そういえば…最近ファンクラブから呼び出しが減った…どうしてだろ?精市に聞いてみると


「きっと詩織の事認めてくれた子が居るんじゃない?」

「…そっか」


それは嬉しい

でも…まだまだ呼び出しは続く…

だけど私には精市達がいるから不安じゃない。大丈夫

そんなある日一つ気になる事が生まれた


「赤也!お疲れ様」

「どーもっす!詩織先輩……あ、"椿先輩!"」

「え」


赤也は私からタオルを貰うとすぐさま椿ちゃんのところへ行った

どうして?いつもならもっと私と話してくれるのに…しかも赤也いつから椿ちゃんの事名前で…?


「俺半分持つっすよ?」

「良いよ。切原君休憩中でしょ?」

「大丈夫っすよ!俺体力あるんで!」

「でも」

「持つっすよ!」

「あ……あーあ」

「なんで落ち込むんすか!?そこ喜んでくださいっすよ!」

「…」


なんでこんなに胸がザワザワするんだろ?赤也今まで私の手伝いしてくれなかったのに…

どうして椿ちゃんの手伝いはするの?


「詩織。どうした?」

「ブン太…う、うぅん。なんでもない」

「?………あれ赤也の奴何してんだ?」

「椿ちゃんの手伝いだよ。赤也は本当に先輩思いで良い子だよね」

「…」


もしかして赤也、椿ちゃんの事好きなのかな?

…それなら応援しなくちゃ。うん…



「幸村君」

「どうしたの?」

「詩織がさっき落ち込んでた」

「っなんで…?」

「多分赤也が近藤と一緒に居たから」

「何故赤也が近藤と?」

「知らねぇよ」

「あいつファンクラブに呼び出されとったから赤也に何か言ったんじゃなか?でなきゃあんなにべた惚れじゃった詩織から離れる訳なか」

「切原君は優しいですからね。有り得るでしょう」

「…すぐ近藤のせいにするのはどうかと思うぞ」

「…真田…?」

「赤也は只差別をしたくないからだろう。近藤も日向と同じマネージャ「違う」

「っ」

「近藤さんは詩織と同じじゃないよ…」

「幸村…ではお前は近藤は仲間ではないというのか?」

「当たり前だろ?大体近藤さんは詩織が呼び出されないようにするために入ってもらっただけだからね」

「…違うな」

「は?」

「弦一郎。」

「もし近藤が我々の仲間ではないというのなら…日向も仲間ではない」

『っ!?』

「真田!何言ってんだよ!」

「詩織は仲間じゃ!」

「何が言いたいんだい?」

「近藤はマネージャーだ。日向もマネージャーだ…お前等が日向は仲間というのなら同じマネージャーである近藤も仲間だ…しかし近藤が仲間でないというのなら同じマネージャーである日向も仲間ではない…これが俺の考えだ」

「ふざけてるのか?」

「たわけがっ…幸村。みんながみんなお前と同じ意見を持つと思うな」

「っ!」

「俺はお前のために言っているんだ…取り返しがつかなくならない内に目を覚ませ」


バタンッ

部室へ行こうとしたら弦一郎が出てきてお互い驚いた


「むっ…日向」

「弦一郎。何話していたの?取り返しがなんとかとか…目を覚ませとか」

「…」

「?」

「俺の口からではなく幸村の口から聞け」


みんなは何を隠してるの?

私に言えないこと?私が知っちゃいけないこと?





「何よ何よ…みんなして私を仲間はずれして」


部活が終わってブン太にケーキ屋誘われたけどお母さんに買い物頼まれたから断って今一人で商店街に来てる

みんなの馬鹿…良いもん。私一人でも良いもん

買い物も済んで階段を降りてた時、ズルッと誤って足を滑らせてしまった


「きゃ…」


午前中雨降ったから滑りやすくなってたんだ…落ちると思って目を硬く瞑ったら

グイッと誰かが私の腕を掴んでくれたお陰で落ちずに済んだ…目を開けるとそこには…


「ぁ…//」

「大丈夫かい?お嬢ちゃん」


着物姿でクールな表情をする凄くカッコイイ人が居た…すっごくドキドキする…まさか…一目惚れ、しちゃった?


「階段は滑りやすいからな。気ぃつけろよ」

「あ、はい………あ、あの!」

「?」


行ってしまうあの人。名前が聞きたくてつい呼び止めてしまった

勇気を出せ詩織


「ぁ、あの…お、お名前聞いても良いですか!?」

「…俺ぁ名乗るもんじゃねぇんだけどな」

「お、お願いです…!」

「そう、だな………じゃあ"若"って呼んでくれや」

「若…?」

「沢山の奴等が俺の事をそう呼ぶ。だからお嬢ちゃんもそう呼んでくれ」

「は、はい!…あ、助けてくれて有難うございました!」

「じゃーな」


若…カッコイイ

見つけた。私の運命の人!

私日向詩織ははじめて好きな人が出来ました


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まさかの桜田組若頭に惚れちまったよ。しかも椿のお兄ちゃん!
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