見た目恐いけど優しいんです




「ふぅ…良いお湯だった」


さてお風呂も入ったし勉強でもするか

自分の部屋の襖を開けると、


「お嬢。お待ちしてました」

「…」

「さ、今日は英語を勉強します。次のテストでは必ず50点は取ってもらいますから」

「…す、昴さん…」


やっぱり貴方はいつでも私の部屋に待ちかねてるんですね…!

彼は東城昴さん。これでも東大卒業生で私の家庭教師をしてくれてます

東大卒業生がまさかのヤクザに入るなんて誰が思いましたでしょうか…いいえ。誰も思いません


「あはは。昴お手柔らかにしないとお嬢バテちゃうよ」

「聖さん…!」

「聖さんは甘いんですよ。この間のテスト見たでしょう?英語15点なんて桜田組の恥です」

「んー…俺達日本人なんだから別に良いんじゃない?あ!国語で90点取ってれば良いよ。俺そうだったし」

「…」


いつもニコニコ笑顔な彼は須川聖さん

これでも彼は立海大中学校の卒業生なの。先輩です!しかも男子テニス部だったとか………

教えられないや、うん


「おーい。薫が新しいゼリー作ったから食べてくれだってよ」

「若!」

「わざわざ言いに来てもらってすみません」

「良いって……そういやぁ椿」

「ん?」

「何部に入ったんだ?」

「…」


笑顔で聞いてくる兄さんが恐い…そんな事を思うのは私だけでしょうか?

絶対テニス部の人たちが困ってたのでマネージャーになりました。なんて言えばお人好しを怒られる


「え、えと」

「「「?」」」

「…園芸部…」

「「「はい?」」」

「だ、だから園芸部!お花の世話だよ!」

「あー!なるほど、お嬢にぴったりだね」

「…宗助に聞いてこよう」

「ええええ!?兄さん信じてよ!」

「あ!お嬢!英語の参考書!」


桜田組のみんなは勿論ヤクザだから恐がられるのが当たり前

でも表面だけじゃなくて内面も私は見てほしいと思うの

だってみんなとっても優しいの。義理や人情も厚いしとっても良い人たち


「宗助。椿の奴本当に園芸部に入ったのか?」

「え!?…あーはい!入りました!」

「…うさんくさ…」

「おーい!聖ぃ!表出ろおお!」

「…お花」

「?」

「…お嬢、らしい」

「あ、有難う。京次郎さん」


片時もマフラーをやってクセッ毛が強くあまり表情を変えない彼は港京次郎さん

マフラーはね…以前首に大怪我しちゃって傷跡隠し、みたいなもの

仕事だから仕方ないと思うけど…やっぱり誰かが怪我をして帰ってくるのを見ると心臓が止まりそうになる


「はーい皆さーん。新作のゼリーですよ」

「今回も薫が作ったんだから美味しいよな」

「慈雨…なんで鼻に洗濯ばさみ?」

「なんだいそりゃあ。新しいギャグか?」

「…うるさい…」


コトッとそれぞれの所にお皿を置いていく

薫さんのデザートはどれも美味しいから楽しみ………………ん!?


「…おい…なんだこの臭い」

「あー今回使った果物少し臭いがキツイらしいんですけど…」

『…』

「ちょっとどころじゃねぇだろうがあああ!!」

「くっさ!鼻曲がる!!」

「こ、これは…ドリアンではッありませんか?」

「昴君正解!八百屋さんから貰ったのよ」

「貰ってんじゃねぇよおお!俺ら殺す気か八百屋のおやじいいい!!」

「じ、慈雨…だからテメェ洗濯ばさみやってたのかよ!」

「だって臭いんだもの」

「真顔で言うなあ!」

「…(チーンッ」

「お嬢おおお!!!」

「おい早く襖開けろおお!!」

「あ、あははは…こりゃ凄いね」

「どうしたんですかい!…ってくさっ!!」

「おいいい!眞澄いい!逃げんなコラァッ!!」



今日も桜田組は平和です………………ガクッ!




「若達喜んでくれたかな?」

「あんた何あげたんだい?」

「あー!親戚から頂いた高級果物なんだがよぉ!」

「馬っ鹿!ありゃあドリアで凄く臭い果物なんだよ!」

「えええええええええ!!!?」
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