ジッとしているよりは…
「――それは真か？鬼童丸」
「はっ…複数の者がどうやら千鶴の事を良く思っていないようです」
「…その者の言い分も分らなくはないが…まいったのう」
「…」
「何…？千鶴の事を良く思わぬ者が？」
「あぁ。薄々は感じていたがその可能性は高い」
「…」
「…もし、刀を抜く事になれば私は容赦しない」
「しょうけら」
「全ては私が人に惚れてしまった事が原因…覚悟は出来ている」
「…馬鹿々しい…」
「茨木童子！」
茨木童子も呆れるのも仕方ない…
そうだ。千鶴に惚れた時から私は覚悟していたんだ
例えこの中で私一人になろうとも千鶴を守ると…
ドタドタドタッ
「「？」」
「…」
「どうした？茨木童子」
「行ったのではなかったのか？」
「いや…なんつーか…」
なんだあの顔…まるで得体の知れない物を見たかのような…
私と鬼童丸は茨木童子が指差す方向を見ると……………………え？
ドタドタッ
「千鶴様〜！いけません！そのような事！」
「いえいえ！私がやります！」
「そういうのは女中の私達がやりますので千鶴様はお部屋にお戻りくださいませ！」
「何もせずお世話になる訳にはいきません。あ、ここを掃除すれば良いのですね？」
「ああああ！！いけませええええん！！」
「…」
「…千鶴…？」
あれは…千鶴、で良いのだな？
しかし何故"女中"の格好をして……え？
「…どういう事だ？」
「等々あいつ頭がっ…」
「そんな事ないっ！」
真相を確かめねば…！
女中が淀殿を呼びに行ったところを見計らって傍に駆け寄った
「千鶴！」
「あ、しょうけら様。鬼童丸様と茨木童子様も」
「何をしておるのだ」
「掃除です」
「んなもん見りゃあ誰でも分んだよ。なんでしてんのかって聞いてんだ」
「やはりお世話になっている以上何かしなければ申し訳ないと思うのでこうやって手伝える事はしようと思いまして」
「…千鶴…」
お前はどこまで優しいんだ…
なんだか今のお前を見ていると私が見守っていた時期の千鶴を思い出す
あの頃もこうやって一生懸命動いていたな
「はぁ…」
「？」
「…お前……馬鹿だろ！」
「え！何故ですか！」
「今どういう状況か分らねぇで…おめでてぇ奴だな！おい！」
「良いか千鶴…今「良いと思う」
「「え？」」
「しょうけら様？」
「今のお前を見ていると千鶴が町に居た頃を思い出す。あの頃の千鶴は本当に輝いていて美しかった」
「…しょうけら様」
それに、やはり部屋に籠もりきりも身体に悪い
私は千鶴の好きなようにさせてあげたい…
千鶴がこれを望むなら、私から淀殿に話して、
「お、おい鬼童丸。なんだこの雰囲気は…！」
「これぞ正しく二人だけの世界と言うやつか…！…ち、近づけぬ！」
「…女中達が騒ぐから何かと来てみれば何の余興じゃこれは？」
「淀殿！千鶴が可愛すぎてどうして良いか分かりません！」
「しょうけらよ。お前以前より少し…あれになったのう」
「あ、あれというのは…？」
「…そ、それにより…女中達が千鶴がと言っておったのじゃが…千鶴やその姿は」
「あ、あの！私女中の方達のお手伝いしたいのです」
「何？」
「やはり此方で過ごす以上私も何か手伝える事をしたくて…それで女中の方達のお手伝いを、と」
「お前は何もせず、過ごしておれば良いのじゃぞ？」
「ですが…やはり私には座って書物を読むよりも動いていた方が良いみたいで…」
千鶴…
そういえばここ最近気づくと歩いている千鶴を見た
あれはそうだったのだな…
「千鶴がそこまで言うなら妾は認めよう」
「！淀殿！」
「淀殿、良いのですか？」
「千鶴がこれ程念入りに申して居るのに認めなくてどうするのじゃ？女中達からは妾が申しておこう。大いに手伝うが良い」
「有難うございます！」
「…良いのか？羽衣狐」
「良い良い」
「しかし"あの件"が…」
「それは奴等の今後の動き次第じゃな…交代で見張らせよう」
今夜は淀殿に甘えてみんなで酒を飲む事になった
始まりの頃は他の女中もいた故、人間の姿だったが遅くなれば千鶴だけとなりみな妖の姿に戻り騒いだ
…私は苦手なのだが…酒
「おーい千鶴ー酒頼むぞ〜」
「はーい！」
「千鶴「千鶴千鶴！酌んでくれー」
「千鶴、わｔ「千鶴ー！」
「はい！」
「…千鶴は私の女なのに何故皆邪魔をするんだ…」
「しょうけら…酔っているだろ」
「おーい…こっちは前から言ってんのになんで未だに来ねぇんだ……鈍感女めっ」
「茨木童子！お前も酔っているのか！」
「…お前と意見が合うなど、奇跡だな」
「意見が合ったなんて思ってねぇけど…今考えてる事は一緒みてぇだな」
「「…」」
「「お前等/テメェ等…取りすぎだああ！」」
ドガシャーンッ
『ぎゃあああああ！！』
「しょうけらああ！茨木童子いい！！」
「…あの、お酒ありますか？」
「はい……千鶴様、髪やら乱れておりますが…」
「…男の方ってお酒を飲むと変わられるのですね…」
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淀殿！若干二名が乱心なさったあああああ！！
次回はラブラブ目指したい…！