花は癒されます


「…いかがでしょうか?淀殿」

「ほう。綺麗な生花じゃ…千鶴どこでこのようなものを学んだのじゃ?」

「以前祖母に教えてもらって…うる覚えですが」

「ほうお前の祖母は素晴らしい奴なのじゃな。どれこの生花妾の部屋にでも飾るか」

「恐れ入ります」


良かった。淀殿に気に入られて

以前祖母の家に遊びに行った時生花がとても綺麗でしたので教えてもらったんです

まさかこんな所で役に立つなんて


パチンッ--パチンッ

「?…淀殿は居ないのか?」

「ぁ…えと、ご自分のお部屋に戻られました」

「そうか………」

「…あ、の…?」


確かこの方…私が初めて淀殿とお会いした際、淀殿のお傍に居た方

名前は…確か……確か…?


「何をしているのだ?」

「えっ…ぁ、と…生花を」

「そうか」


そう言うと部屋に入り私の近くに腰をおろして座ってきました

…あ、あと少しでお名前を思い出せそうなのですが…


「…」

「…」

「…」

「あ、あの…私の顔に何か…?」

「いや…不思議なのでは」

「不思議、ですか?」

「あぁ。何故しょうけらが人間…間違えた。町娘であったお前を気に入ったのか」

「…あの」

「?」

「私は…しょうけら様に気に入られているのですか?」

「……え」


わ、私はてっきりしょうけら様はお優しい方だから私にも優しくしてくれているのだと…

ですがこの方……鬼童丸様のお話…あ、今思い出しました。この方のお名前


「…お前は今まで気づかなかったのか?」

「はい」

「(…苦労するだろうな。しょうけらよ)」


ため息をつかれる鬼童丸様

私何かいけない事でも言ってしまったのだろうか?


「千鶴。少し良いか……鬼童丸」

「む…では拙者は失礼する」

「あ」


しょうけら様がいらしたら鬼童丸様は自分は邪魔だと言わんばかりに去ってしまった

するとしょうけら様と目が合い先程の鬼童丸様の言葉が頭を過ぎった

何故しょうけらが町娘であったお前を気に入ったのか…私は…しょうけら様に気に入られている…

そう考えただけでみるみる内に顔が真っ赤になるのが自分でも分りました


「どうした千鶴。顔が赤いぞ…熱でもあるんじゃないか?」

「い、いえ!だ、大丈夫でございます!//」

「…そうか?」

「は、はい!…あ、あの…私に何か…?」

「あ、いや千鶴がどうしているのか気になって…何もなかったか?」

「はい。何もお変わりなく安心して過ごせております」

「そうか。良かった」

「しょうけら様…」


初めてでした。異性の方に気に入られたのは

だから…とても胸がざわめく。これは恐怖があるからではなく…違う何か

この気持ちの正体が私には分りません



「大変だ!千鶴がしょうけらに気に入られている事を気づいていなかったらしい!」

「世の中には鈍感すぎる女がいるんだな…これだから人間は」

「どーすんだ?」

「茨木童子。次はお前だ」

「…何すりゃあ良いんだよ。野郎の正体でもバラすか?」

「それだけはやめろ」

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