夢だと言い張る


「…」


昨日のあれはなんだったのでしょうか?

目の前に数名の鬼が…やはり…大阪城には鬼がっ―――!


「千鶴」

「っ…よ、淀殿!」


そう考えていると淀殿が来て私は頭を下げた

淀殿は笑顔で表を上げぇと言って下さって頭を上げると


「千鶴よ少しはこの暮らしに慣れたかえ?」

「…ぃえ…まだ少し不慣れな部分が…申し訳ありません」

「何故謝るのじゃ?急にこのような暮らしになれば誰でも慣れるには時間がかかるものじゃ。少しずつ慣れてゆけば良い」

「あ、はい」


淀殿の印象が最初の頃より良くなった

初めてお会いした時は恐かったけど今ではこうして優しく接してくれている

あ…そうだ…


「あ、あの淀殿」

「ん?なんじゃ」

「あの…私、昨日…しょうけら様とお庭で歩いていた時…お、鬼を見たんです!」

「…ふむ」

「町に居た時も度々大阪城には妖が出入りしている噂が…あ、あの本当…なのでしょうか?」


無礼な事は重々承知の上です

ですが…昨日鬼を見て今でも恐くて…!

フワッ

頑なに目を閉じていたら淀殿が優しく私の頭に手を置いてくれた


「千鶴や。それは夢じゃ」

「…え?」

「しょうけらと折角散歩をしていたというのに歩きながら寝ておったのかえ?ほほほ。面白い女子じゃお前は」

「で、でもっ」

「しかも大阪城に妖が出入りじゃと?お前はそのような馬鹿げた噂を信じておるのかえ?」

「…ぃ、いえ…」

「そうであろう……それに」

「?」

「全ての事はしょうけらがいつか話してくれると言っておったじゃろ?その時を待て」

「…淀殿」

「あ奴は信用出来る者じゃ」

「はい」


淀殿が違うと申されるのならば私は信じます

昨日のは夢ですよね。きっとそうです

それにしょうけら様が仰ってたじゃない。いつか必ず全て話すと…その時を待てば良い事

例えどんな事を話されても驚かぬよう今から準備してましょう






「千鶴っ」

「あ、しょうけら様」


お部屋に戻ると外にしょうけら様が立っていた

私を見るなりしょうけら様は近寄ってきて


「あ、あの千鶴…昨日の、事なのだが」

「…ぁ」

「その…あれは、だな」

「…」

「…………………幻覚なのだ」

「…はい?」


大真面目な表情でしょうけら様は言った


「疲れが溜まっていたのだろう。外へ連れ出したのが間違いだったみたいだ…すまない」

「あ、あの!しょうけら様謝らないでください!」

「いや私のせいで千鶴が倒れてしまったのだ。どう詫びれば良いか…」

「しょうけら様……あ、あの!またお庭に連れてってください」

「?」

「もう一度あの綺麗なお庭を歩きたいです…い、いけませんか?」

「…いや…全然構わない。ではまた明日庭を歩こう!まだ全ては見回っていなかったみたいだし」

「はい!」


やはりあれは幻覚か夢だったんですよね

私ったら倒れたりしてしょうけら様にご迷惑をかけてしまって…

今度こそそのような事はないようにしなくては………




「嫌あああ!やはり鬼がああああ!!」

「千鶴ー!?」

「今日はちゃんと人間の姿になったのだが…」

「駄目だったか?」

「お前等自分の顔見てみろ。角やら目が沢山あるぞ」

「…貴様等…今すぐ神に変わって私が地獄へ落としてやるううう!!」

「うわああ!しょうけら様が乱心なさったああ!」

「逃げろッ」

「茨木童子いい!一番は貴様だあああ!」

「また騒いでおるのかお前等は…鬼童丸。千鶴を部屋に運べ」

「…はい」

.

「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -