普通の町娘から




「千鶴ちゃんおはよう」

「おはようございます。今日も良いお天気ですね」

「そうね!洗濯日和でホッとしたわ」


私はごく普通の町娘

10の頃、両親と共に江戸から京へと移ってきた。町の人達もとても優しくしてくれて今や私ももう18

でもこの歳になって未だ将来を共に歩む男の人が見つからない。周りからはお見合いなんて話もしてくれるけど…こんな私を貰ってくれる人なんていやしないし…

…どうして私はこんなに駄目なのだろうか。美人でもないし積極的でもないし…ましてや異性の方とお話もろくに出来ないなんて


「ちょっとちょっと!千鶴ー!」

「?冬子?どうしたの?」


お使いを頼まれて野菜などを買っていると友人の冬子が慌てて私の方へ駆け寄ってきた


「はぁはぁ…」

「?」

「もうっ!こんな所で何しとるんや!」

「何って…お母ちゃんに頼まれてお使いに…」

「アホ!!今アンタの家に"豊臣家の使いのもん"が来とるんやで!?」

「え」


あ、あの…大阪城に居る…豊臣家?

え…なんで私…の家に?な、何か悪い事でもしてしまったのだろうか…

そう考え出すと震えてくる


「と、とりあえず買い物はアタシがしとくからあんたは今すぐ家に帰りぃ!」

「う、うん!ご、ごめんね」

「えぇで!」


私は急いで家に帰った

お母ちゃん…お父ちゃん……私の頭の中は両親でいっぱいでした










「あ、あの…豊臣の方達がこ、こんな所に何用で…」

「えー…この度は、千鶴殿を豊臣秀頼様の"側室"にしたい」

「「!?」」

「お礼はたっぷりと…これ」

スッ

「いかがでしょうか?」

「こ、こんなに…!」

「あ、あんた…」

「う…ぅむ…その」

ガラッ

「お母ちゃん!お父ちゃん!」

「千鶴!」


家に帰ると、お母ちゃんとお父ちゃんの前に綺麗な袴を纏った武将の方が座っていた

…豊臣の…方…一目で分った


「あ、あの…少し娘とお話をしても…」

「……どーぞ」

「おい」

「だまれっ」

パシッ

「ぁいたっ」


お母ちゃんもお父ちゃんも私を別室へ移動させて座らせ、先程あった話を全てしてくれた

…分ってる。私が行けばお母ちゃんもお父ちゃんも不自由なく暮らせる…置いてあった小判が何よりの証拠

私が行けば…


「千鶴」

「お母ちゃん…お父ちゃん…私、いくよ」

「で、でもっ」

「良いの…私が行けば、不自由なく暮らせるし…それにあれだけお金があればお母ちゃんの病気も治せるでしょ?」

「っ、千鶴…!」

「ごめんよ…お母ちゃんがっ病気さえしなければ」

「良いの…泣かないでお母ちゃん、お父ちゃん」


こうして私は豊臣の方達と行くことを決めた

でも…このようなみすぼらしい格好ではいけない。どうしようと迷っていると

豊臣の方の小さいほうのお方が私の方を向き


「千鶴殿。我等と行く前にこの着物をどーぞ」

「こ、こんな高価なもの…」

「大阪城に入るならこれぐらいは当然でございます。それにこの着物は淀殿が自らお選びしてくださったもの」

「…淀殿…!?」


ますます恐くなってきた。私みたいな町娘が何故秀頼様の側室に選ばれたの?

恐る恐るお母ちゃんにも手伝ってもらい着物を着た。髪の毛もとかして綺麗に…お母ちゃんがお化粧もしてくれた

…驚いた。手鏡に映る自分が自分のようではない感じでいっぱいだった


「よく似合っております。では行きましょう」

「…はい」


外に出れば近所の人達がお見送りにきてくれた

泣いてる人も居れば嬉しそうにしている人も居る…その中に冬子が居た


「千鶴」

「冬子」

「千鶴殿」

「あ、はい」


友人と話す間もなく私は籠に入れられ大阪城へと向かった

この後、私に起こる事など知らずに


私は一体どうなってしまうのだろうか…不安でいっぱいで心が避けそうでした

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始めちゃったしょうけら夢\(^p^)/
舞台は400年前の京だね。秀頼の側室なんて真っ赤の嘘
本当はね………次回で明らかに!
ヒロインはとても内気でお淑やかな女性です


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