「ねぇ、名前」
「はい…玉章様」
「君はどうして僕に付いてきてくれたの?」
「…えっ」
私が…玉章様について来た理由…それは
玉章様に一目惚れしたから……なんて口が裂けても言えない
「私も…玉章様が妖怪の主となられるお姿を間近で見たいので」
「…そう」
「今、奴良組は玉章様の計画に圧倒されております…きっと、玉章様が主となられる日はもうすぐかと」
「うん。必ず奴良リクオを倒して僕が妖怪の主になってみせるさ…名前、これからも僕に付いて来てね」
「勿論でございます。玉章様に救われたこの命…どこまでも」
玉章様の肩に寄り添うとどんなに大きい存在かが分る
これなら…きっと玉章様が全ての妖怪の主となれるでしょう…
「でも、良いのかい?名前」
「はい?」
「君は元奴良組の妖怪…未練とかないのかい?」
「それはもう昔の話。今の私は玉章様の妖怪です」
「本当に君は良い子だね。僕が見込んだ事はあるよ」
「嬉しゅうございます」
例え…玉章様が私の事をどうとも思っていなくても…それで良い
こうして、玉章様のお傍に居られるだけで十分
「玉章様、そろそろ次の段階へ」
「あぁ、そうだね…名前は待ってて」
「…名前…」「はい……」
一瞬、玉章様の微笑みが……リクオ様の微笑みと被ってしまった
時々リクオ様の事を気に掛ける日もあったけど…もう遅い。私は既に玉章様の妖怪…
「名前も悪い奴ぜよ」
「っ…犬神」
「奴良組をあっさりと捨てて玉章の所に来るなんて」
「玉章様は私の命を救ってくれたお方…恩返しをするのは当たり前です」
「…そうか……お前は俺と似てるぜよ」
「…え?」
「俺も…玉章と新しい世界を見たい。玉章のためならどこへだって行けるし何でも出来る!…名前もそうだろ?」
「…はい。玉章様のためなら…この命、掛けれます…犬ほどの忠誠心は持っていませんが」
「フッ…お前も十分持ってるぜよ…忠誠心を」
犬神も私と同じ気持ち…いいえ
四国妖怪達皆、玉章様のためならば命をはれる……そう…例え…
グサァッ!ザンッ!!
「玉章様!お止め下さい!」
「ちょっ…アンタ行っちゃ!」
「あぁぁああっ!!」
「…玉、章…さ…ま?」
どうして?どうして仲間を切ってるの?切るのは奴良組の者でしょ?
どうして…平気な顔で…みんなを切っているのですか…!!
「…名前」
「っ!!」
「君は約束してくれたよね?僕と共に、新しい世界を見るって」
「…は、はぃ…」
「僕も君と全てを見たいんだ…だからね?」
「!!」
グサッ
嗚呼…そう言う事、なんですね…?玉、章…様
ドサッ
「僕の中で一緒に見ようじゃないか」
「…名前……名前ーーー!!!」
「…リ…ク、オ…様…」
貴方は…貴方を裏切った私を、まだ…思ってくれたんですね…
でも…私はこれで良い…
だって…
玉章様の一部と…なれる、の…だか、ら…
(チュン、チュンッ)
(…なんだい?君も僕に付いてくるのか?)-----------------------
…玉章…
微妙に狂愛…的な?感じに…
少々、リクオ→名前→←玉章…的な関係になっちゃいました。
あ、ちなみに主人公は鳥の妖怪。うん
.
貴方のお傍で