キキイイイイッ!!!


私って…どうしていつも不幸なのだろうか

普通に過ごして普通に暮らしていただけなのに…たった14歳でこの世を去るなんて…

…もっと、生きたかった…――――




























ガバッ!

「……え」


まるで夢でも見ていたかのように目が覚めた

辺りを見渡すと、どこかの家の部屋…だと思われる


「…ここ……?」


何やら自分の声が透き通っています

自分をペタペタと触ってみると、明らかに14歳の身体ではない。髪も茶色だった筈なのに黒くて長くサラサラ

着ている物も、着物で…私の家ではベッドだった筈なのに布団…病院って訳でもないし…ここ、どこ?

スゥッ


「あ、"乙女ちゃん"。起きた?」

「え」


あ、あれ?…この人どこかで見た事ある…

確か…友達から面白いって貸してもらった漫画に出てくる雪女

…え?今、私の事…乙女、ちゃんって…?


「ちょっと大丈夫?ボーッとしちゃって…あ、まさか風邪でも引いた?乙女ちゃん頑張りすぎるから疲れが溜まったとか」

「い、いえ!だ、大丈夫です」

「そう?じゃ、先に台所に行ってるわね」

「あ、はい」


やっぱり…この成代は『山吹乙女』そして今のは雪女の『雪麗』

…という、事は…私…


「山吹乙女に成り代わっちゃったって、事…?」


交通事故で死んで漫画のキャラに成り代わるってどういう事でしょうか

どど、どうしよ…じゃあここは『奴良組』!?そして私はいきなり鯉伴の嫁!?

嗚呼…いきなり過ぎて思考が回らない……ひ、ひとまず台所に行かなきゃ…



「山吹乙女様、おはようございます」

「お、おはようございます」

「今日も良い天気ですなぁ!」

「はい。洗濯物乾きやすくなりそうで良かったです」


本当だ。ここ奴良組本家だ…誰かに会う度に全員妖怪だもの…

どうしよ…本当にどうしよ……やだ怖い。死んで天国に行くならまだしも…こんないきなり漫画の世界で、しかも漫画のキャラで生きていくなんて…どうしよ…


「山吹?」「っ!」

「どうした?そんなとこで俯いたりして」

「…鯉、伴……様」

「ん?」


不安で不安で潰れてしまいそうになった時ふっと聞こえてきた声

…どうして鯉伴の声で安心しているんだろ…私

この人は確か、リクオの父親でこの山吹乙女と夫婦で…でも私が居て、リクオが居ないとなると…ここは江戸時代…?


「顔色悪ぃじゃねぇかい。やっぱ急に環境変わると辛ぇか」

「ぇ…あ、そんな…事…」

「無理すんな。雪麗さんには俺から言っとくからお前はまだ休んでろ。な?」

「…ぁ……鯉伴様!」

「?」

「私…大丈夫です。鯉伴様の声を聞いたら安心しました」


何を言っているのだろうか。私は…口が勝手に動いてしまう

でも、本当の事。鯉伴の声を聞いたら凄く安心した


「鯉伴様が居なくなってしまう夢を見てしまって…」

「俺ぁどこにも行かねぇよ。安心しろ、山吹」

「…はい」


漫画ではあまり伝わらなかったけど…実際に目の前にして接すると鯉伴という人はとても温かい人だと分る

だから…こんなに安心出来るんだ。なんか山吹乙女が鯉伴を愛した理由も分る気がする


「遅くなってしまってすみません、雪麗さん」

「大丈夫よ。これから朝ご飯の用意する所だったから」

「はい」




私、苗字名前はこれから山吹乙女として頑張って生きていこうと思う

山吹乙女の今後の事は既に漫画で知ってしまっているから…でも、私の行いで変わっていけるなら頑張る

鯉伴にも、山吹乙女そのものにも悲しい思いさせられない…

頑張るから、私…


これが始まり
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山吹乙女成り代わり連載始まり。
これは江戸篇と現代篇に分かれるかな
初めての成り代わりなので到る部分がありますがご了承ください



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