「…鯉伴を半妖の里へ連れて行く」 「!」 「もう、それしか方法がないという事ですか?」 「あぁ…後はこいつ次第じゃ」 二代目が刺されてから数週間…未だに二代目は目を覚ましてはくれない。 私達も、若菜様もリクオ様も心配してる。かろうじて息はしているようだけど…目を覚ますのかと問われれば…… 「氷麗ー」 「、リクオ様…」 「お父さん…まだ目を覚まさないの?」 「…はい」 「…」 「ぁ…で、ですが!きっともうすぐ目を覚ましますよ!」 どんなに慰めてもリクオ様の顔に笑顔は戻らなかった まだ小さいというのに目の前で父親が刺されたら……っ誰がこんな酷い事を…! 「雪女」 「首無?どうしたの?」 「二代目を半妖の里に連れていくのが決まった」 「え!?」 「今はそこの方が良いと決まったんだ」 「…そこに行けば、二代目は治るの?」 「分からない…後は二代目次第だと先代が」 「…そう」 「ねー。お父さんどこか行くの?」 私の着物を引っ張りながら問いかけるリクオ様 分かってくださるだろうか…きっと離れたくないと言うだろう…でも… 「リクオ様、二代目はこれから遠い所へお怪我を治しにいくんです」 「ぇ…じゃあぼくも行く!」 「いけません。リクオ様はお留守番です」 「やだ!お父さんの傍にいるんだ!」 「リクオ様…」 「リクオ様…リクオ様はここに残って若菜様をお守りするという義務があるではありませんか」 「お母さん、を?」 「はい。二代目が言ってたじゃありませんか。"俺に何かあったらお母さんを頼むぞ"と…今がその時なんです!」 「…氷麗」 「二代目が元気に戻られるその日までリクオ様は若菜様をお守りするんです!」 きっとリクオ様なら分かってくださる。だってこんなに真っ直ぐで良い子なんですもの 少しの間ムスッとしていた表情が次第に何かを決意したような目となり、 「分かった…ぼくお父さんが帰ってくるまでお母さんを守る!」 「はい!一緒に若菜様をお守りしましょう!」 「違うよ!」 「へ?」 「氷麗もぼくが守るんだ!ぼくがお母さんも氷麗も守って奴良組を強くするんだ!」 「リクオ様…!」 「お強くなられましたね、リクオ様」 嬉しかった。この言葉が何よりも嬉しかったんです ついこの間までは私がリクオ様を守っていたのに、私を守ってくださるなんて…! 「あ、お母さん!」 「あらリクオ」 「ぼくがお父さんの分までお母さんを守るからね!お父さん絶対治るから!」 「…えぇ。そうね。有難うリクオ」 そんな微笑ましい光景を私と首無は見て微笑んだ 必ず二代目は戻ってくる。そう信じています私達は。 けど、本当に一体誰がこんな事を…… 「やはり、羽衣狐が蘇ったのではなかろうか?」 「見た者が言うには長い黒い髪の少女じゃったようじゃ」 「…羽衣狐…」 半妖の里へ |