「いやああああぁぁああぁああぁ!!!」


スローで倒れて行く鯉伴…

わ、私はっ…私はこの手で…鯉伴を…鯉伴を…!!


「鯉伴…鯉伴!!いやあああ!!」

「ふぇっひっひっひっ、そうじゃ悔やめ女!!自ら愛した男を刺したんじゃぞ?」

「ああぁあぁあぁぁ!!」

「出来なかった偽りの子のふりをしてな!!あっひゃっひゃっひゃああ!!」


私は…!鯉伴を助けるために戻ってきたのに…なのに!!

操られていたとはいえ、自ら鯉伴を刺してしまった…!どうしよう、どうしよう!!

山吹乙女さんとも約束したのにっ…!!いやあぁぁああ!!


"ほほほっ…これほど強い思いがあれば…"


ドクンッ!!


「っ」


体の中に誰かが入ってくる…

誰?……まさか…!


"この体…妾が貰おう。完璧な依代じゃ"

「あ…なた、は……羽衣―――!」


意識が遠のいていく…嫌…これじゃあ…原作と何一つ…

そんなの、嫌だ……



「そうじゃ…妾は"待ちかねた"のじゃ」

「お姉ちゃん…誰?」

「…ふふっ」



そこからの記憶はない。

私は心の奥底に閉じ込められ、意識は殆ど羽衣狐のもの

私は本当に…何のためにここにいるのよ…

鯉伴……――――



















「リクオ様っどうし――――鯉伴様!!誰か!誰かあああ!!」

「どうした!」

「鯉伴様!」

「……っ」

「鯉伴様!!今すぐ鴆様を!」

「…あ、っこ…はっ」

「喋らないでください!おい、早く鴆様を!」

「…お父さん」













私は只、原作を変えたかっただけなの…

みんなが笑える原作にしたかっただけなの…

鯉伴も居て、みんなが笑ってて…そう、本当は山吹乙女さんもそこに居てほしかった…

鯉伴…ごめん、ね。ごめんね…!

この手で救いたかった命をこの手で…!

許して…――――



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