あれから、長い長い月日が経った。

50年なんてあっという間だった。驚いた事は時代の流れ。こんなに街は活気で溢れて変わるんだと関心した。でも一番驚いたのは自分の姿

妖怪って本当に凄いと思う。長い月日が経っても姿が全く変わらなく若いまま。

奴良組も変わらず過ごし、私と鯉伴の関係も変わらず仲良く暮らしています


「今日も良い天気ね」

「えぇ。本当に。良い洗濯日和です」

「乙女ちゃんったら寺子屋の仕事が終わってからずっと家事ばっかり…たまには休んでも良いのよ」

「いえ!これが私の仕事ですから」


雪麗さんとの洗濯物干しも楽しい。毎日が楽しくてずっと笑ってる事が多い

悩みなんてないくらい…そう。このまま幸せに暮らせば良いの…だって私は私なんだから…

原作なんて…無視、しちゃえば…


「山吹」

「!」

「どうしたんだい?考え事か?」

「鯉伴様…いえ。何でもありません」

「そっか」


でも…一つだけ不安がある。やっぱり私には"子が成せない"

50年の間には何度もチャンスがあった。でも成せなかった…。鯉伴は気にしてない素振りを見せるけど、でも本当は心のどこかで気にしていたらと思うと怖い

子が成せない私がこのままここに居て良いんだろうか。原作なんて無視してしまえば良いの…良いって思ってるのに…怖い


「鯉伴様」

「ん?」

「……よ、呼んでみただけです」

「なんだそれ」


鯉伴は変わらず優しい笑顔を向けてくれる。

嗚呼…漫画では語られていないけど、山吹乙女もこんな思いをずっとし続けてきたのだろうか




















それは、ある日の夜の事。聞きたくない話を聞いてしまった

全ての家事が終わり自分の部屋で寝ようと歩いていると、一つの部屋に明かりがついていた

誰かがまだ起きているのかと近付くと、話し声が聞こえてきた


「…困ったものだ」

「?」

「"跡継ぎ"はいつになったら出来るものか」

「っ!」

「あれからもう50年だぞ」


"跡継ぎ"…その言葉で心にあったモヤモヤが大きくなってきた

私のせいで組の人達が困っている。いつまでも鯉伴が二代目を勤められない。そのために跡継ぎが次の三代目が必要なのに…

子が成せない私は平然と住んでいる。やっぱり駄目なのかもしれない…そんなの…


(やっぱり…原作には勝てないの、か…)


私は部屋へ戻って紙と墨を取り出し、静かに手を動かした

ごめんなさい…鯉伴
ごめんなさい…有紀

私、駄目だった…あんなに勢い良く変えてみせるとか言っておいた癖にっもう諦めている

鯉伴…ごめんなさい。貴方を裏切る事を許して…一生付いてくるっていう約束守れなくてごめんなさい


「…でも楽しかったな」


鯉伴や組の人達との生活

苗字名前にはない幸せな時間だった。優しくて温かくて…

有難う…――――



















――七重八重 花は咲けども山吹の     
     
     みのひとつだになきぞかなしき――



















私は、文と山吹の一枝を机の上に置き夜が明けぬ内に奴良組を後にした。

行く所なんてない。でも遠く遠くへ行かなければならない。もし鯉伴が気付いて追ってきたら大変だから

でも歩けば歩くほど涙が零れる


「っ…神様は、私にっ何をさせたかったの…!」


原作と同じように哀しみを味合わせようとしたの?どうして私は山吹乙女に成代わったの?

分らない。分らないよ…!



誰でも良いから…教えて…―――



長い月日
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急展開過ぎやしないかい?←お前が言うな。
50年間の空白は…まぁ皆様の想像で、うふふあははをしてたと((try




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