あの夜から、鯉伴は帰ってきて居ない

理由は分っていた。きっと黒田坊と闘ったんだ…それからも山ン本五郎左衛門と闘うんだ…


「雪麗さん。寺子屋に行ってきますね」

「行ってらっしゃい…乙女ちゃん」

「はい」

「鯉伴なら大丈夫よ。その内ひょっこり帰ってくるわ」

「…えぇ。そうですよね」


そう、笑って帰ってきてくれる

私には分る。分るのにとても不安なの

きっと鯉伴が怪我をして帰ってくるから…私は見守るだけしか出来ないなんて…



「妖怪が出るなんて怖いよね〜」

「うん」

「妖怪には正義の妖怪もいるんだよ!」

「えー!」

「今回は正義の妖怪だって!」

「…」


正義の妖怪…確かに奴良組の妖怪達は町を、人を守ってくれる


(…鯉伴…)


あまり無茶なしないでね…無事に帰ってきてね

私は貴方の笑顔で安心するのだから…

























「あー!山ン本ってムカツクー!」
「え?さん?」

「山ン本五郎左衛門よ!奴良組の敵で百物語組って悪者!」

「なんか名前からして恐ろしく強そう…」

「そうなのよねー。百物語で完成…って奴良組の方が強いんだよ!」

「そうなの?」

「うん!鯉伴が黒田坊を纏って山ン本をおりゃあああ!って」

「…へー」

「あ、それ信じてない目!良いでしょう。信じていない名前に漫画を貸してあげよう。これで名前はより一層ぬらりひょんを好きに」

「ちょっと待ってよ。これ江戸時代の話でしょ?鯉伴が活躍する話になんでお父さんが出てくるの」

「鯉伴は私の旦那だから」

「わー超笑顔で言いますか」


そうだった

黒田坊は最初敵ででも鯉伴と共に戦ってくれるの

黒田坊は子供達の思いによって生まれた妖怪。だから子供達を助けるため鯉伴と協力して…


「名前」

「?」

「早く戻りなよ」

「え?」

「いつまでも"こんな夢"見てないの」

「ちょ、有紀?どういう意味?」

「アンタはもうこっちじゃないでしょ?」


有紀の言葉の意味が分らない

こんな夢って…?


「アンタは、あの人の帰りをちゃんと待っててあげなくちゃ。いつまでも過去に囚われちゃ駄目。前を今を見る!」

「!…有紀」

「ほら、行きなさい!」

「うん…ごめんね。またね!」


いつまでも見続ける"私"の夢

でもこんなんじゃ駄目なんだよね。いつまでもウジウジしちゃ駄目

まだまだ不安だらけな事ばっかりだけど…でも私はもう悩まないよ。有紀

これからは鯉伴と一緒に歩んでいく。まずはあの人の帰りを待たなくちゃね




「…未来を変えてね。名前」





私はもう、山吹乙女なんだから―――



不安
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夢主ってどこかで苗字名前としての生活に戻りたかったんですよね
だから度々こんな夢を見て…でも決心ついたようです。
これからは「山吹乙女」として生きていきます!



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