「ねー!名前!アンタに貸したぬら孫どうだった?」

「うん。確かに面白いね。ぬらりひょんの孫ってとこも面白い」

「でしょー!でも私の本命は鯉伴なんだー!」

「鯉伴?え?漫画に出てこなかったけど」

「あーアンタにはまだ鯉伴が出てくるとこ貸してない」

「…」

「後で貸してあげるって!超カッコイイから!」

「う、うん」

「あ、でもカッコイイからって取らないでよ!私の鯉伴なんだから!あんたはぬらりひょんね」

「えー!何それー!」











「……懐かしい」


成り代わってから数ヶ月が経過した或る日私は懐かしい夢を見た

私がまだ苗字名前だった頃。友達とぬら孫を語ってた。凄く楽しかった

今頃どうしてるのかな…風邪引いてないかな…


「あ…今日も寺子屋行かなくちゃ…」


山吹乙女と鯉伴は確か寺子屋で知り合ったんだよね

今も私は寺子屋へ行って子供達に勉強を教えている。元14歳の私に出来るのかなと心配していたけど不思議といろいろ物知りでした

これも山吹乙女だからだろうね



「はぁーい、ではお勉強始めましょう!」

『はぁーい!』


子供ってこんなに可愛かったんだ

寺子屋で勉強を教えてて凄く楽しい。何より無邪気な子供たちが可愛いの

その中にはやっぱり清十字怪奇探偵団の子達に似た子供達がいるから、きっと祖先だよね

やっぱり清継君は清継君だ…妖怪の話ばっかり


「妖は絶対いるよ!」

「えー」

「山吹先生は信じるよね!」

「え、えーと…どうかしら」

「えええ」

「ほらぁ!やっぱり妖なんていないよー!」


居るなんて言ったら絶対駄目。誤魔化なきゃ…うん

…数ヶ月も山吹乙女をやっていると、なんだか慣れてきた。鯉伴とも上手くいってるし…中々帰ってこないけど

でも、妻って待ってなくちゃいけないんだよね。いつでも帰ってきておかえりなさいって言えるように…


「先生ー!ばいばーい!」

「気をつけるのよー!」

「はーい!」

「…ふぅ。今日も終わり」


江戸ってこんなに素敵な町だったんだ…知らなかった

空気も美味しいし…何よりみんな優しい人達で…奴良組の妖怪達もすっごく優しいんだけどね

寺子屋も終わったし屋敷に戻って家事しなくちゃ


「山吹乙女様!」

「あら?…首無?」

「はぁはぁ…二代目見ませんでしたかい?」

「え?鯉伴様?いいえ」

「…まっったくあの人は…!!」

「……ふふ」


この頃の首無って後ろ髪長かったんだ

どことなく雑って感じもするし…リクオの側近してる時とは大違い


「?私の顔に何かついてます?」

「いいえ。今日の首無も首無だなぁと思っていたんです」

「…ど、どういう意味…?」

「ふふ」

「これから屋敷へお戻りへ?」

「はい」

「では!もし鯉伴様にお会いしたらこの首無が探していたと言っといてください!」

「分りました。お会いしたら言っておきますね」


そう言えば鯉伴をここ2日間見ていない

漫画でもブラブラしていたがまさか本当だったなんて…でも仕方ないよね

ぬらりひょんの子だし…うん







「ただいまー」

「りーはーんーさーまー…!」

「おいおいなんだよ首無。暑苦しいって」

「アンタ何度言えば分るんですか!どこか行くならちゃんと行き先言ってから行け!」

「良いじゃねぇかい。江戸内しか行ってねぇんだからよ」

「そういう問題かっ!!」

「…おっ」

「おかえりなさい。貴方」

「ただいま。山吹」


最近になってだんだんと私自身、鯉伴を好きになってきた

彼の一つ一つの優しさが凄く嬉しいし…自由だけど私の事考えてくれる


「腹ぁ減ったな」

「すぐ用意しますね……首無」

「?」

「そこで怒っていないで、上がってみんなで食べましょう」

「…山吹乙女様には敵いません」

「ふふ」


毎日が凄く楽しい

こんなに大勢でご飯を食べる事もなかったし、賑やかだし

神様に感謝だよね…私を山吹乙女にしてくれて…有難うございます












「寺子屋で山吹乙女様を狙う奴が居たので拙者が厳重に注意しておきました」

「…なんじゃカラス天狗。随分過保護じゃのう…」

「鯉伴様が居ない時何かあったらどうするのですか!」

「…そうね。それは大変よね」

「…雪女まで…」


江戸の風景



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