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"伊織様、伊織様ぁ…"

"どうかお助けください…!"

"村を…!"

"我々をッ…!!"



ガバッ

「…」


前世の、夢…?

…結局私は助ける事も出来ず…死んでいった

天女だからと言って全てこなせるわけではない。あの方達には悪いけど…




ガコンッ

「…ふぅ」


夢を見てから寝付けない…眠るとまた夢を見そうで怖い…

前世の記憶なんて…なくなっちゃえば良いのに


「前世の記憶があるのは何かしらの意味があるからかもね〜」

「、夏目さん…?」

「どうしたの?伊織たん。こんな夜中に」

「夏目さんこそどうしたんですか?」

「ぼく?…ぼくも伊織たんと同じ」

「え」


夏目さんには嘘はつけませんね


「夏目さんは…私が何の先祖返りか分っているんですよね?」

「うん」

「私は無力な自分が嫌いなんです」

「伊織たんは良く頑張ってるじゃん。丸っきりの無力じゃないでしょ?」

「いいえ…人々の心の傷は癒せても村を救う事の出来ない私は無力です」

「それは仕方ないんじゃないかな。村とかだっていつかは駄目になる…伊織たんが気に病む事はないと思うよ」

「…」


夏目さんは強いお方

私なんかよりも…


「苦労してきたんだね、伊織たんは」

「え?」

「ずっと監禁されてきたんでしょ?嫌になったりしなかったの?」

「家のためと思えば…それに毎日琥珀さんが来てくれたので…それに今はこうして自由に過ごしてますので」

「そっか」

「夏目さんは子供の時どういう風に育ったんですか?」

「ぼく?蜻たんとそーたんと渡狸と毎日遊んでたねー♪ラスカル〜って」

「ふふっ」

「…そろそろ寝ますか」

「はい」


なんだか夏目さんと話したら気分が楽になったかもしれない

初めてここへ訪れたときも明るく接してくれたし…

有難うございます。夏目さん


「夏目さん」

「んー?」

「何か辛い事があったらいつでも私を頼ってください。抱っこぐらいは出来ますから」

「母親の温もり、か…良いね〜それじゃその時はお願いしちゃおっかな〜」

「はい」






「伊織たーん!渡狸が虐めるよー!」

「あらあら」

「伊織ちゃんに抱っこしてもらえるなんて!羨ましい!…わ、私もっその谷間の間に顔を埋めても良いかしら?」

「野ばらちゃん、鼻血鼻血」

「…なんだかあの二人仲良くなったね」

「いや…俺には残夏が変態にしか見えなく…」

「何かあったのか?」

「ぼくと伊織たん二人だけのひ・み・つー。ねー」

「はい」

『?』


二人だけの秘密もまぁ、新鮮で良いなぁ

本当に…温かい人達に出会えて、良かった










「…」

「ちょっとミケ…キョウが凄い険悪そうな顔でこっち睨んでんだけど」

「きっと夏目さんが天宮さんにくっ付いてるのが気に食わないのでしょう。僕にも分ります。凛々蝶様が他の男とくっ付いているのを想像しただけでその方を…」

「え、その方をどーすんの?すげぇ気になんだけど」

(私でさえまだ伊織に抱っこしてもらった事ないのに…夏目ぇ…!)

「伊織たん…はくたんから凄い殺気が…」

「も、もう。琥珀さんっ」

「伊織ちゃーん。私にも抱っこして〜vV」



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抱っこ=ハグの事です。

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