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ズキンッ――

「うっ…!」


最近、また頭痛が酷くなってきた。なんとか"妖怪の俺"が出ないよう抑えてはいるが…

このままだと本当に…


コンコンッ――

「"琥珀さん、今良いかしら?"」

「っ…伊織」


まずい…伊織には心配かけさせたくない…

俺はゆっくりと立ち上がって扉を開けた。そうだ。平然と接するんだ。伊織の前では…


ガチャッ

「どうしたの?伊織」

「…琥珀さん」

「ん?」

「具合悪い?」

「え…どうして?」

「顔色、少し悪いわよ?大丈夫?」


そう言いながら伊織は小さい手で俺の頬に優しく触れた

その瞬間―――――ドクンッ!

まずい…!!アイツ…! 身体が勝手に動いて、伊織の手を優しく握ると


「―ずっと、変わりなくお前は優しい…」

「えっ…琥、珀…さん?」

「―私は大丈夫…ずっとお前の傍に…っ」

ガクッ

「琥珀さん!?」


"―何故邪魔をする…!!"

勝手な真似をするな…!これはお前の身体じゃない…!

"―馬鹿が…貴様は俺の先祖返りだろう?私の身体も同然だ!"

違う!俺は狂宴寺琥珀だ…お前じゃない!!


「琥珀さん!?大丈夫!?」

「っ……はぁ…伊織…?」

「琥珀さん…貴方…」

「伊織…ごめん、大丈夫だから」


そんな辛い顔しないで、伊織

俺はそんな顔見たくない。お前には笑っていてほしいんだ。ずっと…

俺のせいでお前を傷つけたくないのに……


「それで?何か用があったんだろ?」

「え、えぇ…」

「私は大丈夫だから。どうした?」

「…あのね?みんなでタイムカプセルを埋める事になったのよ」

「タイムカプセル?」

「来世の自分たちに向けた手紙よ。琥珀さんもやりましょう?」


来世の自分に向けた手紙……手紙…そうだ。

手紙なら…もし俺が死んで伊織が監禁に戻らないためにも…章樫館のこの人達に手紙で頼める…

勿論自分にも書く。そして俺が死んでからみんなに届くよう手紙を書くんだ…


「私もやろうかな」

「それじゃあ手紙書き終わったら屋上ね!」

「あぁ」

「絶対よ!必ず来てね、琥珀さん!」

「行くよ」


伊織は嬉しそうに言ってパタパタと行ってしまった

あんな楽しそうな表情を見れるなんて…初めて会った時は無表情で生気のない感じだったからな。あんな顔見れるとは最初思わなかった

…有難う、伊織…君に出会えて本当に良かった。これは"奴"に決められた運命なんかじゃない。俺の人生の中で伊織に出会えたんだ。


「…意識を留めておける内に書いておかなくては…」


俺は、決めた。

もし…この身体が完全に"奴"に乗っ取られてしまった時…俺は零に殺処理してもらう。誰かを傷つけるよりはマシだ

ごめん伊織…これしか方法見つからなくて……でももう伊織は一人じゃない。みんながいる…
















"―俺は…俺は諦めない…天女様を手に入れるなら手段は選ばない…!"

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原作少しずつ入り始めてるかな。

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