「里に行った奴等大丈夫やろか」

「きっと大丈夫やろ」

「…なんだこれは」


きっと大丈夫や…ウチ等が心配したらアカン
その時、乾くんが一つの大きな何かを見つけ行った。残った奴等で傍に行くと


「…墓…?」

「誰のやろ…」

「もしかしたら」

「何か分かんのか?乾」

「あぁ。これは――――ガサッ

『!?』


乾くんが何かを言いかけた時、草むらから誰かが出てきた
武器も持たんウチ等や…もし敵やったら……
すると、出てきたのは着物を着た右目に包帯をした男の子が出てきた


「…」

「君は…」


男の子は無言で近寄って来て、大きな墓の前にしゃがみ持っていた花束を置き、手を合わせていた
沈黙が続いた…それを破ったんは…河村君やった


「その、お墓…」

「…4年前、ここで"死んだ"子達の墓…」

『!!』

「やはり…」

「乾?」

「始まる前、鈴木一郎が言っていただろ?"前回の子達は普通だった"と」

「それじゃあ…!」

「あぁ。本当に前回も行われていた確率はほぼ100%だ」

「酷ぇ…!」


嘘やと思いたいけど…お墓があるっちゅー事はほんまに…
酷過ぎる…!傍で付いていてくれるユウ君も顔が歪んでいた


「なぁ、お前も妖怪なのか?」

「……だったら?」

「だったらって…」

「なんで妖怪が俺達人間を助けるとか気になるやん…」

「…さぁ…月夜さん達の考えなんて僕には分からないよ………ほっとけば良かったのに…」

「ちょっ待て。今お前何て言うた」

「ユウ君っ…」

「ほっとけば良かったのに。って言ったんだけど?」

『っ!!』


彼の目は、酷く冷たい目やった
片目だけやけど…氷のように冷たい、瞳や…
さっきの妖怪の子とは違う感じや…


「人間なんてほっとけば良かったのに…全員死ねば良かったのに…」

「お前…!!」

「やめるんやっ一氏はん!」

「俺でもあれはねぇと思うぜ!」

「本当の事言って何が悪い?大体妖怪が人間を好きだと思ってるの?…勘違いしないでよ」

「…」

「…僕は…人間も妖怪も…嫌いだッ…」


この子は妖怪とちゃうの?なのに人間も妖怪も嫌いって…


「クソクソッ…嫌な奴だぜ…!」

「向日もっ」

「ユウ君、止めとき」

「小春やお前達は何も思わへんのか!?コイツは…!」

「――琥珀ちゃんっ!」


険悪な雰囲気になっとった時、一人の女性が現れた
妖怪…やろな…その人は男の子の傍に行って


「琥珀ちゃん…どうして」

「…ねぇ母さん…どうして助けようと思ったの…?」

「っそれは…」

「ほっとけば良かったじゃないか…なんでっ…」

「琥珀ちゃん、話を聞いて」

「"僕達の時は見殺しにしたのに"!!なんでっ!」

「琥珀ちゃん!」

『!?』


男の子はダッと走り去ってしまった
せやけど…さっきの言葉…"僕達の時は見殺しに"って…
まさかあの子…!


「…ごめんなさい」

「あの…あの子もしかして、前回の生き残りとちゃうん?」

「え!?」

「でもあいつ妖怪だって!」

「貴方の言う通り…琥珀ちゃんは前回ここで殺し合った子達の中の生き残りよ…でも正確に言えば一度死んで妖怪として生まれ変わったの」

「マジかよ…」

「…だからあんな事を言ったんだね」

「取り乱すのも分かるわ…私達は前回の子達を見殺しにしたから…」

『…』


それから、自己紹介をしてくれた
この人は女郎蜘蛛の梅さん言うんやって。こんな綺麗な人が蜘蛛やなんて…見かけによらへんなぁ
ウチ等はまだこの森について、今どういう状況になっとるかも知らん
それを梅さんに聞いた。驚く事ばっかりやった。まだ森ん中に居る白石君達が心配や…
無事やと良いんやけど…














ザッ

「はぁ、はっ…!」

…僕達を見殺しにしたのに…なんで今回の奴らは助けるんだ
みんな、みんな死んじゃえば良いんだ…僕達の時のように死んじゃえば…!


「うっ…くぅ…!」


どうして僕達だったんだ…僕達は只、普通に修学旅行を楽しみたかったのに…

"諸君は選ばれたのだッ!!"
"これは光栄な事であって喜ぶべき事だ!"
"さぁ!存分に殺し合ってくれッッ!!!"


「もっと…生きたかったよね…」

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琥珀というキャラは出て来た通り前回殺し合った中学生の生き残りです。右目の包帯は4年前に傷を負って。


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