鳳side―


忍足さん達も加わり俺たちは急いで妖怪達が沢山いるという里へ向かった

その時島の奥の方から鳥が沢山バサバサと飛んで行くのが見えた。


「嘘…」

「どうしたの?鏡子ちゃん」

「なんで…妖怪が……早く行かなきゃ!」


鏡子ちゃんは何故かさっきよりも慌てた様子で走った

俺たちは何も分からず只日吉達が心配で走った

里の中へ入ると広場っぽい所に沢山の人だかり?いや妖怪だから…妖怪だかり?が出来ていた。鏡子ちゃんはより一層早く走って近くの妖怪に話して


「みんな待って!その人達を食べないで!」

「鏡子!?」

「その人達は悪気があってやった訳じゃないの!だから許してあげて!今は島の中に居る悪い奴等をなんとかしないと!」

「さっき島の中心の方から妖気が出てたな…もしや敵か?」

「うん。そいつ等が前回、今回の黒幕…だからみんなで島を守ろう!」

「…」

「結界がない今、敵どもは里に入ってしまうかもしれぬぞ?」

「板鬼!」

「玉藻様が何も言わぬ以上、我らが独自に動く他あるまい…里を守りたいと思う者で闘える者は早急に準備をし里の周囲の守りを固めよ!」

「お、おぉ!」

「わがった!」

「女子供は家の中に入っているのだ」


さっき忍足さんたちを乗せてきた妖怪はテキパキと指示をしていた。そしてあっという間に捕まっていた日吉達が見えた


「赤也!」

「海堂!」

「日吉!」

「せ、先輩!?」

「なん、で…!」

「どういう事だ?」


日吉達は俺たちが死んだと思ってたみたいで凄く驚いてた

生き延びた俺たちも驚いてるよ。まさか妖怪に助けられるなんて…それぞれ感動の再会をしてた


「わああ!マジで丸井先輩とジャッカル先輩なんすよね!?」

「当たり前だろぃ」

「汚ぇ顔だなぁ」

「だ、だって…だって!」

「大石先輩…!」

「海堂。心配かけたな」

「日吉無事で良かった」

「ふん…鳳や宍戸さんや忍足さんもご無事で」

「あぁ」

「ほんまや」

「…鏡子」

「右京様…玉藻様に言って」

「?」

「煙々羅はちゃんと帰ってきたよって」

「!ではやはり彼女が…」

「うん!今はね?人のために闘おうとしてるんだよ!玉藻様の言う通り、煙々羅は優しい妖怪だよ」


煙々羅?初めて聞く妖怪だなぁ

俺は詳しくないから日吉に聞いてみると


「名の通り煙の妖怪だな。でも実際詳しい事は分からない…何せ煙の妖怪なんて殆ど居なくて中には空想の妖怪だという話も出てる…本当に居るなら会ってみたいな」

「お前…こんな状況で言える言葉かよ」

「気になるじゃないですか」

「それで?これからどないするん?」

「せやな…俺等は」

「みんなは里の中に居た方が良いと思う」

『え!?』

「里の中に居れば襲われる事はないから」

「でも!森の中ではまだ他のみんなが必死で逃げとるんや!」

「俺等だけ安全で居るなんて…!」

「…言う通りにした方が貴方方のためですよ」

「っ」

「玉藻様…」


声がする方を見ると、そこには獣の耳が生え奇麗な銀髪をなびかせた美形とも言える男が居た。後ろには沢山尻尾もあって…

玉藻…日吉からこの妖怪がこの島の妖怪を率いる長だそうだ。確かに人間の俺から見ても寛大さはあると思う…


「敵の妖は思った以上に強そうです。貴方方がお仲間のところへ行くとなると…自殺行為ですが」

「で、でも!」

「別に無理に行くなとは言いません。死にたいのであればそのまま行けばよろしい」

『……』

「玉藻様…」

「右京。準備出来たものに伝えろ…私に続いて来いと」

「貴方も行かれるんですか!?」

「そりゃあそうでしょ〜。最愛の娘が頑張ってるんだから。父親も頑張らないとね〜」

「…一目蓮…場所分かりますか?」

「東の方ですよ」

「鏡子も行く!」

「鏡子はここでみんなを頼みます」

「…」


玉藻とかいう妖怪の言葉に俺達は何も答えられなかった

でも仲間がまだ必死に逃げてるのに…俺達だけ安全にここで待ってろって言うの?俺、耐えられないよ…

跡部さん…慈郎さん…真由ちゃん…無事で居てください…!

俺は自身の首に下げている十字架を強く握りしめて祈った


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