忍足.Kside―



「みんな無事やったんやな」

「忍足さん…後ろのそれ、なんですか?」

「なんや最初襲われるかと思うたけど優しい奴なんやで!菓子あげたらなんか助けてくれたし!な、侑士!」

「ほんま驚いたで」

「板鬼も協力してっ」

「…?」


ボンッ

なんや変な音がしたと思うたら、板の竜みたいな奴がおった場所にそら可愛い子がおった

全員驚きが隠せん…え?だ、誰ですか!?


「何があったのだ?鏡子」

「あのね、この人達の仲間が畏れを消しちゃったから鬼たちに食われちゃうかもしれないの。助けるの協力して」

「助けたらまたあの菓子が貰えるのか?」

「え」

「え?」

「何でも良いから言っとけ!」

「お、おぉ!あげるで!仰山あげるで!」

「承知した」

「有難う」

「めっちゃ可愛い…」


また板の奴になりおって空高く飛んでいきよった

妖怪って…なんか凄い


「私達も里に行こう!」

「ちょっ里って事は…妖怪が沢山居るんだよ、ね?」

「当たり前だよ?だって住んでるんだもん」

『…』


誰もが今同じ事を考えたと思う

絶対怖い奴が仰山おるんやろ?…正直嫌やわぁ…


「大丈夫っ鏡子が守ってあげるっ」

「有難う。鏡子ちゃん」

「小さいのに強いなぁ自分」

「鏡子はこれでも100年以上生きてるよ」

「えぇ!?」

「マジかよ!」

「うん」

「…妖怪も見て判断しちゃ駄目ですね…」


それから俺等は何とか森の中を走りそのー里っちゅー場所に向かった






切原side―


「…」

「…」

「おい…日吉…」

「まずいな…」

「冷静に言うな…!」


俺達は今背中合わせに地面に座ってる。勿論ロープで縛られて

周りには色んな化けもんが俺達をジロジロ見てる。人の姿に似た奴も居るけど殆どが怖ぇ化けもんだ…こんな奴この世にマジで居たのかよ


「これが人間か?」

「馬鹿っぽそうに見えるがな」

「だが里の畏れを破った奴じゃぞ」

「陰陽師じゃなかろうな」

「清明の子孫か!」

「…俺達どーなんだよ」

「ついてねぇな、ついてねぇよ。本当」

「皆、一箇所に集まってどうしましたか?」


ザワッ

一気に化けもん達の視線が後ろの方へ行き、化けもん達は道をあけた

そこには尻尾が沢山生えて耳までついてる男がやってきた。日吉が小声で「九尾の妖狐だ」と言った

マジかよ…なんだか威圧感が流れて俺達は只呆然と見てるだけしか出来なかった


「玉藻様!ごいつ等が里の畏れば消した奴等です!!」

「…」

「如何いたしやしょうか?」

「…今回の件は貴方方に任せてあります。どうぞお好きに」

「へ」

「た、玉藻様ぁ!」

「…え…ど、どういう事?」

「今機嫌が良くありませんから…その方達の処分はどうぞお好きに、と言う事で」

「喰って良いんが!?」

「でえええ!?」

「ちょ、ちょっと待って下さい!俺達知らなかったんです!」

「そーです!つーか"安倍清明の護符"を使ったのはこいつだけだし…」

「お前達だけ逃げようとするなよっ」

「…清明…?」


いろいろ言い訳してると、またさっきの男が来た。確か…玉藻、とか呼ばれてな?

そいつは日吉の前まで来てしゃがんでは


「…清明の護符と言いましたね…貴方は清明の子孫か何かですか?」

「ぃ、いえ…その、本屋で…安倍清明について書かれた、本があって…これは、付録…で」


そう言って日吉が護符を渡せば玉藻とか言う奴は手にすれば、一瞬ジュッと音がした

化けもん?妖怪?達はまたざわつき始めた。え、つーか妖怪が手にしたらジュッて音がしたってのは…マジでその護符って本物なのか?

インチキだったらそうならねぇし…


「玉藻様!」

「…清明…どこまでも小賢しく憎い奴め…!」


その時の玉藻とか言う奴の顔は何とも言えないほど、怖かった…ゾクッとして背筋が凍る程怖かった。

妖怪だから陰陽師を嫌うのは当たり前かもしれないけど…でもこいつのそれはなんだか違かった。只陰陽師だから嫌いだとかそういう生易しいもんじゃねぇ

それから護符は燃やされまた玉藻はどこかへ行ってしまった。そして鬼達は俺達をどうするかで意見を出し合ってた



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