奴良side―




「…可笑しいな」

「どうしました?リクオ様」

「携帯にかけても江間に通じねぇんだ」

「確か山には行ってませんので通じる筈ですよね?」


なんだ、この胸騒ぎ

江間が屋敷を出てからまだ一日も経っていねぇのに凄ぇ不安に感じる

何か…あったんじゃ


「若ああ!大変ですぜ〜!」

「おいおい一体どうしたんだよ」

「テレビ!テレビ!」

「?」


小妖怪の慌て様が気になって僕達はテレビのある居の間へ行った

そこには屋敷の妖怪とじじいがテレビを見ていた


「どうしたんだよ、じじい」

「おぉリクオか…見てみろ」


じじいの指差す番組を見てみると、


「"連絡が通じないとは本当なんですか!?"」

「"はい…それに坊ちゃまと御友人方が到着されるのはお昼頃だった筈なのです…それが既に何時間も過ぎて…今までこのような事ありませんでした"」

「"もし誘拐なら犯人からの連絡は!"」

「"いえ、まだそのようなものは……嗚呼、一体何故こんな…"」

「"心配ですね"」

「"連絡が取れない学校の生徒は全員で36名にも及ぶようです。今名前を挙げますので名前が載っているご家族の方は至急連絡をお願いします"」


まさかとは思った…だが、名簿を見てギョッとしちまった

名前の中に江間の名前が載っていた…


「えぇ!?」

「おいおい!こいつぁどういう事だ!」

「この時期に大掛かりなパスジャックか?」

「妖怪の仕業か?」

ダッ

「リクオ様!どちらへ!」

「決まってんだろ!助けに行く!」

「待てリクオ。お前この子達の行方知ってんのか?」

「!…そ、れは」


知らねぇ…だがここでジッと待つなんて事は出来ねぇ


「…あの」

「?」

「一つだけ、心当たりがあるんです」

「なんだ雪女」

「これ…"あの小説"と似てませんか?」

「しょうせつ?」

「だが、それは修学旅行生だろ!」

「でも!中学生です!…4年前同じ事がありましたから否定は出来ません」


そんな…氷麗の言う事が正しければ…今殺し合いしてるっつーのか…!

ふざけっ…!


「何の話ですかい!」

「簡単に言やぁ…もしかするとさっき名前出た奴等は、今殺し合いしてるかもしれねぇ…」

『!?』

「なんの意味が…」

「そういう小説が何年も前に出てるのよ。中学生一クラスで殺しあう小説が」

「人間も呆れるぜ。なんつーもん書きやがるんだ」

「じゃあ今もしかしたらその小説どおりになってるかもしれないって事?」

「かもしれねぇ」

「…」


全員血の気が引いた気がした

人間、しかも子供が殺し合うなんて誰が想像しただろう。いや誰も想像できねぇよ


「どうすんだ?」

「人間の私情だろ?」

「でも煙々羅が巻き込まれてんだぞ」

「じじい。どこか誰にも見つからずに人間が殺しあえる場所はねぇのか?」

「また難しい事言うのう…そうじゃな…ここより南に行った海の先に、妖怪が住む島がある。そこならまず人目にはつかんじゃろ」

「じゃあ!」

「だがあそこは警備が厳重でな…相手が妖怪な限り島に入る事は出来ん」

「え、じゃあ…今回の事って妖怪がらみ?」

「なんにせよ早く助けに行かねぇと手遅れになる!行くぜ!みんな!じじい!宝船貸してくれ!」


バッ!

妖怪が事を起こしているというなら俺達はそいつを倒すまでだ

江間…お前はどうしてる?

もう、人間殺すんじゃねぇぞ…お前は京都で闘った時のお前とは違ぇんだからよ


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第一章と言うべきかな。終わりです。
次からは一日目(後編)に入ります。
これは先に死亡確定された部員達サイドの話です。

ごちゃごちゃになってすみません((汗



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