小川side―



「…」


私は何故かあの銀髪の人に嫉妬をしていた

江間ちゃんが彼の傍で安心してる…私では安心させる事が出来なかったのが凄く悲しい

江間ちゃんが転校してきてからずっと親友だと思っていた…なんだか彼女は他の子とは違うオーラがあるっていうか…私は友達になりたかったの。彼女にお願いしたら簡単にお友達になってくれた

あまり表情は変えないけど、でもちゃんと私の話を聞いてくれてちゃんと答えてくれた。それが嬉しくて…彼女には裏がない。それが凄く好きだったの

…なのに…


「由紀子?」


こんな…知らない人に大事な親友を取られたみたいで凄く嫌だった

バッ

私は銀髪の人から江間ちゃんを離し私の腕の中に収めた。その人は驚いた表情をしてたけど、私は真面目です


「…」

「ぁ…貴方はっ江間ちゃんの何なんですか?」

「…貴方こそ、彼女のなんですか?」

「っ…わ、私は江間ちゃんの親友です…!」

「友情って良いね〜」」右目が隠れてる男の人が私を見て微笑みながら言ってきた

でも、銀髪の人は不機嫌な表情で私を見つめていた。その瞳はなんだか奥深く…見つめていると吸い込まれそうで自然と目を逸らしてしまう


「貴方は江間ちゃんのなんですか!」

「…私はっ」

「玉藻様」

「っ…右京」

「まだ、あの子と決まったわけではありません」


あの子?…あの子って誰?

玉藻と呼ばれる人は凄く切なくて悲しそうな表情をして、そっと江間ちゃんの頬に触れて


「私には、分ります…この子は…」

「…」

「この子は…私のっ――」


何か言いかけた時、遠くから呼ぶ声が聞こえた


「おーーい!!」

「…跡部、じゃないか?」

「跡部ー!」

「手塚ー!不二ー!」

「部長…!先輩…!」

「手塚…越前と英二だよ」

「あぁ」


…どうして、真田や仁王や赤也は来ないの?

大丈夫かな…無事かな…


「あら?」

「…月夜…アンタ何捕まってんの?」

「最近の人間はおっかなくてしゃーねーよ」

「跡部、その子は?」

「…妖怪、らしいぜ」

「…」

「赤舌に会わなかったの?」

「赤舌ぁ?会わねぇよ」

「…何やってんのかしら…」


…本当に、妖怪…なんだ

私達これからどうなるの?殺し合いという立場でもあるし、妖怪に囲まれて危ない感じでもあるし…

…やだ、怖い…


「…ぅ」

「江間ちゃん!」

「…小川…さ、ん…?」

「うん…!良かった…!」

「松尾さん。大丈夫ですか?」

「…私…一体…」

「急に清明様と言い出して走った時は驚いたぞ」

「…清明、様…」


良かった…無事で良かった…

江間ちゃんは自分で立てそうだったから離れると立って私達にお辞儀をした

その時、また銀髪の人が江間ちゃんに近付いてきたら今度は精市達が隣に立ってくれた


「…」

「…"煙々羅"…ですよね?」

「え?」

「っ」

「私です…玉藻です。煙々羅…どんなに貴方に会えるのを心待ちにしていた事か…」

「っ……ち、がいます」

「え」

「私は、煙々羅という者ではありません…松尾江間という者です…」


そう言いながら江間ちゃんは私の後ろに隠れるように後ろに下がった

気まずそうに銀髪の人を見ると、なんだか…凄く、凄く悲しい顔をしていた。涙が出そうでも出ないような…そんな辛い表情を


「煙々羅…」


ガガッザアアアアアアアア


「っ!これは放送か?」

「まだ放送時間じゃねぇぞ」


この放送で私達の本当の試練が待ち受けている事をまだ知らなかった

こんな時こそ…自分だけ助かるんじゃなくて…助け合わなきゃいけないんだよね。


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補足説明
松尾はね、千年前から600年間ぐらいこの島で一時的に暮らしていて羽衣狐が淀殿の時に京都に渡ったんです。
煙々羅は清明が反魂の術で蘇らせた人物なので清明が全てだったんです。
玉藻は松尾江間の…なんでしょうね。それは本編で分る。つか、もう時間差とか関係なくなった…



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