跡部side―



「――これからどうする?」

「そうだな…生き残ってる奴等と合流出来りゃあ良いんだがよ」

「でも誰がゲームに乗ってるか把握しないと僕達も危ないと思うよ」


っつっても…誰が犯人だなんて…考えたくもねぇ

俺は誰も誰かを殺していないと信じている。だが死人が出ている事態だ…そう思えなくなるのもまた事実

一体どうすりゃあ良いんだ…くそっ


「とにかくこの島は広すぎる…無闇に動いて迷うのも嫌だぜ」

「そうだな。まずは地図を見て確認しよう」


手塚がリュックから地図を取り出しその場に広げた

みんな地図を見下ろし、今の現地点を探すと丁度島の真ん中辺りだと分る


「…と、言う事はみんなはこの周りや近くに居る事になるね」

「ふぁわ〜」

「慈郎…寝んじゃねぇぞ?アーン?」

「少しだけ〜」

「ったく…襲われても助けねぇぞ」


「跡部を信じてるC」とか言って寝ちまいやがった

呑気な野郎だぜ、全く…羨ましい奴


「…、…、」

「神崎さんも少し寝てたら?歩き続けで疲れてるでしょ?」

「っ!そ、そなんじゃ…!」

「真由…お前は寝とけ」

「で、でも…」

「見張りは俺等がしとく。動く時はちゃんと起こす」

「…う、ん…それじゃ…少しだけ」


俺は真由を必ず守る。ずっと…1年の頃からそう思っていた

他の媚を売ってくる女とは違い、真由は結構サバサバした奴だった事を覚えている。俺の前にしても強気な発言をして…

"ちょっと。そんな所に突っ立ってないでよ。歩く人の邪魔"

"アーン?"

"ちょっと貴方!跡部様に向かって何よその言い方!"

"他の道通んなさいよ!"

"嫌よ。こっちの方が近道だし…ほら早く退いて"

"…"

面白ぇ女だった。サバサバしていると思ったら結構寂しがり屋な所もあって…俺は思ったんだ。俺がこいつを守らなきゃならねぇって


「…ねぇ…ちょっと良いかな」

「どうした?不二」

「可笑しいと思わないかい?」

「アーン?」

「僕達、一度でも"死体"を見た?」

「「…」」

「この島が広いのは分る。それでも死体や血を一度も見ていないなんて可笑しいと思わないかい?」

「確かに…俺や慈郎もここへくるまでは死体や血を見ていねぇ」

「…しかし政府は確実に死亡者を把握できている」


…どういう事だ?首輪が爆発したり心音が止まればそれで首輪が感知して死亡だと分る

だが、それは悪までパソコンでの把握だ。実際に死体を見て言っている事ではない

……じゃあ…!


「おい。もしかしたら――ガサッ

「!」

「誰だ!」

「っ」


茂みから出てきた野郎は青学でも氷帝でも立海でも四天でもねぇ奴だった

着物姿に右手には日本刀を持ち…顔は、鬼の面で隠された野郎が出てきやがった…

誰だあいつ…!


「…一体…!」

「……5人、か…」

「逃げたほうが良さそうだ…」

「おい、慈郎!真由!起きやがれっ!」

「んー…どうしたのー?」

「何……?」

「早く立て!逃げるぞ!」

「悪い事は言わない。大人しくしてればすぐ楽になる」

「何を言っている」

「それはつまり…死ぬって事かい?」

「…」

「はっ!やなこった!俺達はこんな所で死なねぇ…生きて帰らなきゃならねぇんだよっ!!」

「…あっそ…じゃあ力づくでもっ…!」

「っ!」


ダッと奴は走ってきやがった。慈郎と真由を後ろに下げ銃を構えて撃った

ダァンッ ダァンッ

くそっ…早ぇ…!!


ブンッ

「おっと…!」

「…ちょこまかと…」

「跡部!」


手塚にサバイバルナイフを投げ渡された。銃はこいつには効かねぇのを誰もが思った

しかし長さ的には向こうの方が勝ってる…!


ガキンッ ブンッ

「景吾!!」

「くっ」

「逃げてるだけじゃ何にもできねぇ、ぞっ!」

ブンッ

「っテメェ…何者だ?政府の奴か!」

「誰があんな奴等の味方すっかよ!」


避けるのが精一杯だった。俺は中学生だ。こんな状況での太刀打ちの仕方なんざ習ってねぇ


「うわああああ!」

「っ慈郎!」

「!」

ヒュンッ ストンッ

「ぅおっ……!」

「!」


慈郎が遠くからホウガンを撃った時、奴は避けたせいでホウガンが自らの仮面に命中した。だがあの距離だ…顔面にまでは到達していないだろう

俺はそこを狙い一か八か奴を掴み押し倒した

ドサッ


「はぁはぁ…捕まえた…!」

「よしっ!」

「その仮面…取ってもらうぜ!」

バッ

「…!」

「どうした跡部」

「何が……え」

「何々〜!…」

「ぇ……お…女の子おおおお!?」


真由を叫びで俺は我に返った。こいつは紛れもねぇ女だった

良く見りゃあ胸の膨らみもあり、体つきも男のものではなく女のものであった

俺は慌ててそいつから退くと、女はゆっくりと起き上がった


「なんで…女の子が…」

「…あーあ…仮面真っ二つだよ」

「おい!なんで女がこんなところにいやがんだ!」

「さっきから女、女って……俺は女じゃねぇ!」

「テメェ俺達をなめてんのか!アーン!?」

「女の子がこんな危ないもの持っちゃ駄目だC」

「だからっ…あーもう!"今"は女だけど普段は男だ!勘違いすんな人間!」

「意味分んねぇ事をベラベラと…!」

「跡部」

「?」
手塚の提案だった。相手が意味分んねぇ女でも拘束しておいた方が良さそうだ

確か真由の武器がロープだったな…


「?」

「先に謝っておく。すまない」

「は?…なっ!」

「俺は謝らねぇからなっ!」


手塚が女の腕を掴み俺はロープで縛った

刀は不二が握っており、取られないように仕舞っておくか…

…さて


「おい。俺の質問に答えやがれ。テメェは何者だ?アーン?」

「さぁな」

「…どこからきやがった」

「ここに住んでんだからここから来たんじゃねぇの?」

「ここって…この島に住んでいるのかい?」

「無人島、じゃないの?」


これは、色々詳しく聞かなきゃいけねぇな

だが、こいつの話す事を俺達はすぐには受け入れられなかった

あまりにも非現実的で…等々頭までイカレちまったのかと思う程…




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