白石side―



「小春と一氏まで…」

「…」

「…でだ、よ…大、石…」

「ネコのにいちゃん…」


菊丸君は膝を付いて泣いてた…ずっと一緒やったパートナーが死んでしまったんや…

俺等も仲間が死んだ…誰も声をかける事は出来んかった


「死ぬ時は…一緒だって、言ったじゃん…!大石のッ嘘つき…!」

「小春と一氏まで死んでしまったんか?」

「…金ちゃん」

スッ

「菊丸。どこに行くとね?」


千歳の言葉で振り向くとさっきまで膝をついてた菊丸君が静かに立っていた


「俺…ここからは一人で行く」

「どこにや!」

「決まってんじゃんか!大石を殺した奴を見つけるんだ!」

「そな無茶な!」

「このままじゃ大石浮ばれないよ!!誰が何と言おうと俺は見つける!」

「菊丸君ッ!!」


ダッと走って行った菊丸君を追いかけようと俺も走った

こんな状況で無闇に行動なんてアカン!禁止エリアも違う場所になってん!

このままじゃ…!


ドンッ

「わっ!」

「きゃっ」

「?…ど、どないしたんや!?」


近くでぶつかる音と二人の声が聞こえたから傍に駆け寄ると菊丸君が尻餅をついていた


「だ、大丈夫か!?」

「いてて…うん…誰かに、ぶつかって…」

「え?……ぁ」

「いたた…なんなのよ急に…」

「…」


ゆっくりと起き上がる女性は着物姿にマフラーをしていて、片目が隠れるほどの長い前髪に、腰辺りまでの長いウェーブがかかった淡い色の綺麗な髪

肌も白く透き通っていて誰が見ようともこう思うやろ…「美人」…やと


「ぇ…あ、ご、ごめんなさい」

「…あら…」

「白石ー!菊丸ー!大丈夫とね!?」

「白石!」

「金ちゃん。千歳…」

「だ、だいじょ、ぶ…」

「…」

「…姉ちゃん誰や?何でこんな所居るん?」


警戒心もなく、金ちゃんはその女性に近付いてった

女性は表情も変えることもなく只金ちゃんを見た


「…ここに住んでるの」

「え!」

「ここ無人島じゃないのかにゃ!?」

「ま、外からの人は無人島だと思うわね」

「姉ちゃん!名前なんて言うん?ワイ遠山金太郎言います!」

「は?」

「そんで!こっちが白石で!こっちが千歳!そんでネコのにいちゃんや!」

「俺、菊丸!菊丸英二!」

「千歳千里たい」

「白石、蔵ノ介言います」

「…」

「で?姉ちゃん名前なんて言うん!?」

「…雹麗よ」

「ひょうら?何て書くん?」

「ひょうは…雹って書いて…れいは綺麗の麗って書くのよ」

「じゃあ氷の姉ちゃんや!」

「…」


金ちゃん……せやけど金ちゃんがこんなに警戒心もなく話しかけるなんて

にしてもほんまにえらい美人やな…雹麗さんって


「あんた達今殺し合いしてんでしょ?」

「「「っ!」」」

「どう?誰かと殺り合ったの?」

「そんな事出来る訳ないやん!」

「金ちゃん」

「どうして?」

「命はごっつ大切なもんやってうちの母ちゃんが言うとったんや!せやからワイは誰も殺さへん!」

「…今回の子は違うのね…」

「え?」

「良いわ。付いて来なさい。助けてあげる」

雹麗さんはそう言うとくるりと回り歩き出した

誰もが唖然とする中金ちゃんだけが歩いていき


「白石ー!千歳ー!ネコのにいちゃーん!早う来いひんと置いてくでー!」

「金ちゃん!少しは警戒心というもんを持つばい!」

「氷の姉ちゃんは大丈夫やー!」

「け、けど…」

「…生きたいなら私に付いてくる。死にたいならそこに入れば良いわよ」

「ま、待って下さい!付いていきます!」


なんやよう分らへんけど、ここは付いて行ったほうが良さそうと思い俺等は半信半疑のまま、雹麗さんに付いていく事にした


「なー氷の姉ちゃん。どこ行くんー?」

「…その氷の姉ちゃんっていうの、止めてくれる?」

「えー!えぇやん!なんかワイ間違うた事言うた?」

「…間違ってはないけど……はぁ……"赤舌"!どこに居るの!"赤舌"!」

「あ、あかしたってなんだろ…」

「さぁ…」

「…あ」


数秒していきなり上から着物姿の男性が出てきよった

…この人が"あかした"…?


「どうした、雹麗」

「作戦変更。今すぐ月夜達を呼んできて」

「は?…つかなんで人間と行動してんの?」

「成り行きよ…今回の子達は話せば分るかもしれないの。だったら回りくどい事せずに前から攻めれば良いでしょ?」

「…なるほど。確かにこれ回りくどいしつか人数多いからこっちも大変なんだよな」

「だったら今すぐ呼んできて」

「はいよ」


二人の会話に理解出来んかった。全員頭の上に?を浮ばせとると思う

話し終えると"あかした"と呼ばれる人は森の中へ消えて行った。雹麗さんがこっちに振り向くといきなり彼女は驚きの言葉を発するんや


「あんた達…妖怪の存在、信じてる?」

「えっ」

「…は?」

「?」

「…」


段々と、俺等の置かれている状況が大変な事に気付く

殺し合いどころの騒ぎやない…こんなの…



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