跡部side―


「二番、芥川慈郎君」

「…はーい…」

「ジロー!」

「跡部…」

「気をつけろ…あの女」

「…う、ん」


くそっ…最悪じゃねぇか本当

平和な日が続くって思った矢先にこれかよ…大体こいつ等どうかしてる

あの小説をマジに再現しやがって…しかも同じ事を4年前にもだ?アーン?

政府は何やってやがんだ…!


「3番、跡部景吾君」

「景吾」

「真由…お前等も待ってるからな」

「うん」

『あぁ/はい』


俺は立ち上がって軍人の傍へ行き、リュックを受け取った

…だが立海の方へ振り向き


「幸村」

「…跡部」

「悪いがもしもの事があったら、俺は容赦はしねぇ」

「…」

「俺の言っている意味分ってるか?」

「……あぁ」

「ハッ…だったら良い」

「おい。早く行け」

「今から行く」


例え立海の奴でも、あの松尾江間っつー奴が何か仕掛けたら俺は容赦しねぇ

幸村は意味を理解してくれたようだがな


ガサガサガサッ

「くそっ…ジローの奴どこ行きやがったんだ?アーン?」


草むらを掻き分けながら歩いていると茂みの向こうから声が聞こえた

ジローだと思った俺は急いでリュックの中から武器を取り出して身構えた…銃…アタリって訳か

俺は一息つき草陰から出て、


「ジロー!無事か!」

「あ!跡部じゃん!」

「…」

「おまっ何やってんだ!さっさとこっち来い!」

「Aー!…あ、跡部!誤解誤解!」

「アーン!?何がだ!」

「この子ゲームに乗ってないC!」


ジローの傍に居たのは間違いなく松尾江間だった

俺は急いでジローを傍に引き寄せようとしたがジローがとんでもない事を口走った

この女が…ゲームに乗ってない?


「ど、どういう事だ?」

「俺は只この子に携帯の使い方教えてただけ!ね、江間ちゃん!」

「はい」

「だ、だがテメェあの鈴木に一日で終わらすって!」

「その後に言いましたよね?誰が死ぬか分りませんがって…それに今は武器を持っていないのでどうしようも出来ません」

「…」

「あ!さっきの続きなんだけどさ…って今携帯って今使えんの?」


なんだよそれ…

だが少し安心した俺が居る。まだ命はあるって事だ


「…使えないんですか?」

「お前な…ここは奴等の基地みてぇなもんだぞ?電波だって変えられてるかもしれねぇぞ?アーン?」

「でもやってみないと分りません…芥川君、ここ押せば良いんですか?」

「うん!そうそう!」


ピッ

松尾は携帯を耳に当て電話をした


「………ぁ、三代……なんだ、貴方ですか」

「…ほらな」

「…」

ブチッ

「あいつ何言ってた?」

「何も聞かずに切りました」

「んだそりゃあ…」


…こいつ、なんか悪い奴に見えなくなってきた

最初は表情を全く変えないでロボットみてぇな事言って…まぁでも今ので人間だっつー事は分った


「おい、お前これからどうすんだ?」

「…決めてません」

「じゃあ俺達と来る?」

「はぁ!?」

「…小川さん…」

「「?」」

「小川さん泣いてました…だから待ってます」

「…そうか。じゃあ俺達は行く…行くぞジロー。他の奴等探さなきゃいけねぇ」

「あーうん…江間ちゃん、またね!絶対死んじゃ駄目だC!」

「二人もお気をつけて」

「おう」


幸村、悪ぃな。俺は誤解してたみてぇだ

こいつ…全然思ってたのと違う

人を殺した事があるだなんて鈴木の嘘じゃねぇか









「…あれ?」

「どうしましたか?リクオ様」

「江間から電話がきてる…ほんの数秒で切れてるけど」

「合宿所、とかいうとこに着いたって電話してきたんじゃねぇんですかい?」

「律儀だな」

「…」

「リクオ様?」

「…なんか変な胸騒ぎするんだよね…」





まだゲームは始まったばかり

この先、どうなるかは…まだ誰も分らない


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