江間side―


ブチンッ

「はーい。みんな分りましたかー?」


…なんで小川さん達が怯えているのに大人達は笑っているのか理解出来なかった

彼女達が死ねば彼等が喜ぶ?どうして?誰かに生き肝を捧げるとか?でも彼等に妖気は感じないし


「期限は3日間。3日間生き残った"1人"だけが家に帰れます。でも3日間過ぎても1人にならなかった場合その場にいる全員の首輪が爆発して終わりですので皆さん頑張って殺し合ってください」

ギュッ

「っ?」

「…怖い…よ…」


傍に座っていた小川さんが私の袖を掴みながら震えていた

…今この場にいる全員があの鈴木三郎という人間を畏れている


「あ!言い忘れた!その首輪知っていると思うけど無理に外そうとした場合爆発するからね。注意してね…後12時に流す放送で禁止エリアを言うからそこに入っても爆発するから」

「…どう聞いても映画と同じじゃねぇか…」

「…白石…」

「…大丈夫や金ちゃん…」


私は何をすれば良いの?

私は手伝いとしてここに来ただけ。他は何も言われて居ない

三代目には頑張れと言われた…でもこの状況となって何を頑張れば良いのですか?三代目…


「質問ある人ー………面白い君、何かない?」

「え」

「ないならないでも良いけど」

「…じゃあこの首輪、どうやったら取れるんですか?」

「それは教えられないなぁ。教えたらゲームにならないし」


でも、無理やり引っ張れば取れる……取ろうかな

別に私爆発しても…でも目の前でそんな事したら妖怪だってバレてしまう


「ぁ…あの!」

「ん?なんだい?」

「…先生達…俺達の顧問の先生達はどうなったんですか!?」

「お、大石…」

「…知りたい…?」

「…はい」

「や、止めろよ!俺死体なんか見たくねぇ!」

「はははは!安心して。殺してないから…"まだね"」

『!?』

「先生方ねー今は別室に居るんだけど、このゲームに協力してくれなくてね…でも普通に殺しても面白くない。だから一日経っても君達の中で誰一人死ななかった場合、先生達が代わりに死ぬ」

「え!?」

「…な、なんだよそれ」

「だから君達が殺し合えば殺し合う程、先生達は助かる可能性が強まる…どう?」


…一言で言えば、彼は狂っている

私達妖怪から見てもそう思える。目が完全に違う

何の意味もなく誰かを殺す…そんなの妖怪はしない


「くそっ…」

「先生たちをどう助ければ…!」

「…っ」

「長太郎。自分が死ねばなんて考えんじゃねぇぞ」

「…宍戸さん」

「死んでたまるか…」

「…越前。お前このゲームに乗るのか?」

「まさか…でも乗らないと竜崎先生助からないんすよね?桃先輩」

「あぁ…くそっフザケんじゃねぇっての」

「オサムちゃん無事やとえぇけど」

「…あの人は大丈夫っすよ…」


みんな小声で話していた


「…江間ちゃん…」

「?」

「…誰かを殺したりなんか…しないよね?」

「松尾さん」

「?」

「君を巻き込んでしまったのは申し訳ないと思ってた…でも今の君にはどうしてもそう思えないんだ」

「…」

「俺達は死なない。今からそう断言させてもらうよ」

「ちょっと精市…!それどういう」

「由紀子」

「…蓮二…」


この人は私が誰かを殺すと思っている

…私に人間を殺す理由はもうない

このゲームに乗る気も全くない…でも、私も死ねない


「分りました。私も死ぬ気は一切ありませんので」

「…」

「江間ちゃん…」

「良いかいみんな。俺達立海は絶対死なない」

「…おう」

「あぁ」

「了解」

「うぃっす」

「はい」

「あぁ」

「分った」

「…由紀子もだよ」

「うん」

「――それじゃあ出発しまーす。名前が早い人から呼ぶからこのリュックを貰って始めてくださーい」


私何番目だろ…松尾…だから…


「それじゃあ一番――松尾江間さーん」

『!?』

「…どうして私が一番なんですか?」

「君面白いから…ほら早く行って。後ろつっかえちゃう」

「江間ちゃん!」

「………要りません」

「は?」

「リュック要りません」

「ちょっとちょっと松尾さん。リュック無しじゃ何も出来ないぞー」


武器なんて自由自在に出せるし…

邪魔なだけだし………あ、そうだ


「必要ありません。このゲーム…一日で終わらせて差し上げましょう」

「へぇー…!」

「"どちらが死ぬのかは分りませんが"」


リュックを持たずそのまま外に出るために歩き出した

…三代目に報告した方が良いかな?


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