二人でお昼寝
思えば、それは珍しいことなのかもしれない。
「……また君かい……?」
「うん、また君」
昼下がりの屋上。
数分前にチャイムは鳴ったはずなのに、向き合う男女。
それが、名前と雲雀だった。
「まったく君は……授業受ける気ないわけ?」
「うーん……雲雀が受けたら私も受ける」
「そんな群れるような真似、僕がするとでも?」
「ううん、これっぽっちも思ってないよ」
そう言いながら、名前はゴロリと寝転ぶ。
空は快晴。
少しだけ浮かぶ雲が、時折眩しい太陽を隠す。
名前が空に手を伸ばせば、それを雲雀が怪訝そうな目で見下ろした。
「……何してるの?」
「……こうやって手を伸ばせば、届くかなって」
「そんなこと、あるわけないでしょ。君、頭大丈夫?」
益々雲雀の眉間に皺が寄る。
しかし、名前はそんなことはお構いなしのように、手を空に伸ばしていた。
どうにも動きそうにない彼女に、雲雀は溜め息をつくと自分も寝転がる。
彼が見上げた空も、どこまでも青い空だった。
「……たまには、こんな風にのんびり過ごすのもいいと思わない?」
「……まあね」
名前がニコリと微笑みながらそう言えば、雲雀はフッと一瞬だけ笑みを漏らした。
それに目を丸くさせる名前だが、やがて彼女も再び笑みを漏らす。
そして、視線を空へと向けた。
「……いつか、届くと思う?」
「……さあね。僕はそんなの興味ないから」
そう言うと、雲雀は欠伸を一つ。
そして、眠そうにしているその瞼を、ゆっくり下ろした。
「……僕の眠りを妨げないでね。わかった?」
「ん、りょーかい」
間の抜けた名前の返事を聞きながら、すでに雲雀の意識は少しずつ夢の世界へと誘われていた。
それを横目で見ながらも、名前は再び手を空に伸ばす。
自由に流れる雲は、まるで隣にいる彼のようだと、そんなことを思いながら。
その2時間後、様子を見に来た草壁が目にしたのは。
30cmとも離れぬ位置で寄り添って寝ている、名前と雲雀の姿だったとかなんとか。
二人でお昼寝
(快晴の下で二人)
(幸せな時間を過ごそう)
(貴方が雲だと言うならば)
(いつか貴方を掴める?)
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昔別サイトで書いていた雲雀ほのぼの夢です。
ほのぼのさがなんとも中途半端な気が…。
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