おわりのはじまり
人生なんて、あっという間に終わってしまうものなのだと、こんなにも感じたことは今まで一度たりともなかった。
友人と他愛もない話をし、じゃあまたと別れたその直後。
交差点を曲がった私に突っ込んできたのは、巨大なトラック。
まさか人が出てくると思っていなかったのか、トラックの運転手の表情は驚愕に染まっていた。
そんなどうでもいいことを考えながら、私は不思議なくらいに冷静にその光景を見ていた。
そして、自分の死を確信し、そっと目を閉じた。
あわよくば、次の人生が今世よりはマシなことを祈って。
グッバイ、この世
(目を閉じた私を見下ろす存在に)
(私が気づくはずもなかった)
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