欲張ってくれてもいいんじゃない?
――あぁ、もう!
鬼道のヘタレ野郎っ……。
なんでこんな近くにいるのに何も仕掛けて来ないんだよっ!
期待してる自分が馬鹿みたいじゃないか。
だって、その……やっぱ男子中学生だし? やっぱ好きな人といるとドキドキするし、ちょっぴりその……な。
「半田? どこかわからないのか」
よほど変な顔だったのか鬼道が心配そうに問い掛けてきた。
「あぁいや、大丈夫だ」
俺は今、鬼道の家で勉強を教わっている。しかも鬼道の部屋で二人きり。二人の距離がこんなにも近いのに、なんで何もしないんだろう。
俺はため息をつく。
「ちょっと休憩にでもするか」
「わかった」
「……」
その後、特に会話という会話はない。俺が何度かチラリと鬼道の方を見ると、稀にだが目が合う。
彼もなにか期待して、でも恥ずかしいのだろうか。なぁんだ、そんなことなら言ってくれればいいのに。
だって証拠にあいつの顔、赤いんだもん。普段は結構、ズバズバ言うのにこういうことには奥手なのが少し可愛いかも。
「は、半田……っ」
「なに、鬼道」
「手、繋いでもいいか?」
「別にいいけど。ね、鬼道。それ以上のこと、してみない?」
ゆっくりと、誘惑するように。
目の前の鬼道は顔を真っ赤にしながら、俺を見る。
でも、俺はただ微笑むだけ。
「――俺、鬼道とだったらいいよ。だから……」
欲張ってくれてもいいんじゃない?
(さあ、召し上がれ!)
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鬼道さんはヘタレ攻めなイメージがある(・ω・`)
半田はいい意味でも悪い意味でも中学生。
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