欲張ってくれてもいいんじゃない?


 
 ――あぁ、もう!
 鬼道のヘタレ野郎っ……。

 なんでこんな近くにいるのに何も仕掛けて来ないんだよっ!

 期待してる自分が馬鹿みたいじゃないか。
 だって、その……やっぱ男子中学生だし? やっぱ好きな人といるとドキドキするし、ちょっぴりその……な。

「半田? どこかわからないのか」

 よほど変な顔だったのか鬼道が心配そうに問い掛けてきた。

「あぁいや、大丈夫だ」

 俺は今、鬼道の家で勉強を教わっている。しかも鬼道の部屋で二人きり。二人の距離がこんなにも近いのに、なんで何もしないんだろう。

 俺はため息をつく。

「ちょっと休憩にでもするか」

「わかった」

「……」

 その後、特に会話という会話はない。俺が何度かチラリと鬼道の方を見ると、稀にだが目が合う。

 彼もなにか期待して、でも恥ずかしいのだろうか。なぁんだ、そんなことなら言ってくれればいいのに。

 だって証拠にあいつの顔、赤いんだもん。普段は結構、ズバズバ言うのにこういうことには奥手なのが少し可愛いかも。

「は、半田……っ」

「なに、鬼道」

「手、繋いでもいいか?」

「別にいいけど。ね、鬼道。それ以上のこと、してみない?」

 ゆっくりと、誘惑するように。

 目の前の鬼道は顔を真っ赤にしながら、俺を見る。

 でも、俺はただ微笑むだけ。

「――俺、鬼道とだったらいいよ。だから……」



欲張ってくれてもいいんじゃない?
(さあ、召し上がれ!)



*****************

鬼道さんはヘタレ攻めなイメージがある(・ω・`)
半田はいい意味でも悪い意味でも中学生。

前サイトから引き継ぎ&手直し


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