「知り合い」から「特別」へ
サッカーの練習をしている時だった。同じメンバーである半田が、何やら顔を青ざめて腹を押さえているのを見かけた。
「ねぇ、土門。半田、どうしたのかな?」
「さあな。腹でも壊したんじゃない?」
「それならいいけど……」
いつも元気に笑ってサッカーしてるキミしか知らないから、普段と違う半田の様子に俺は不安を覚えた。
(……って、俺、なんで半田のことこんなに心配してるんだろ)
あまり話したことない。ただ同じチームメイトってだけなのに。
「一之瀬ーっ、早くしないと響監督に怒られっぞー」
「ああ、わかったよ」
俺はその不思議なもやもやをきのせいだと思い込むと、みんなが集まる場所へ走った。
「よーし、壁山! ナイスブロック」
「チャンスはまだある!」
軽いウォーミングアップを終え、二チームに別れてミニゲームを始めた。
「一之瀬っ、ぼさっとするな」
「ああ、ごめん。鬼道」
そう謝りつつも、ちらり、と同じチームになった半田の姿を見る。先程よりも顔を真っ青にしていた。
さすがに不安になって声をかけようと踏み出した、その時だった。
走ろうと踏み出した半田の足がガクンと崩れ、ドサリと音を立てて倒れた。
「っ、半田!」
俺は慌てて半田の元にかけよる。すると周りもどうしたどうした、と半田の周りに駆け寄った。
「うぅ……っ」
「おい、半田、大丈夫か」
円堂が半田の体を揺すろうとするが、豪炎寺がそれを止める。
「とりあえず俺が保健室に連れて――……「いや、俺いく」一之瀬?」
突然そんなことを俺が言い出したからか周りは驚いていた。
(俺があの時、声をかけてればこんなことにならなかったかもしれない――……だから)
「わかった、頼んだぞ一之瀬」
「あぁ」
俺は半田を背負う。対して身長差のない彼を背負うのは辛かったが、今ぐったりしてる半田よりかはましだろう。
(……わかんないけど、半田にはいつも笑っててほしいんだ……)
「ごめんね、ちゃんと声かけられなくってさ。ねぇ、半田。これからは仲良くしたいな」
返事がないのはわかってる。
けど自分の気持ちを吐き出したかったから。
(早く、目が覚めるといいな……、)
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リハビリ作品
一之瀬と半田の関係だけじゃなくて一之瀬の心情にも変化が、みたいのを書きたかった
ちなみにまだ一之瀬は気持ちに気づいてない
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