縮まらないこの差が憎くて


 
 今まで敵だったやつがいきなり味方になるなんて、そんなの嫌だ。それは俺たちのサッカーじゃない! ――なんて彼に反発したときが懐かしい。

 今じゃ彼はすっかり雷門に馴染んでいるし、帝国の仲間たちとも仲は良好のようだ。ならなんでこんなにモヤモヤするのだろう。

 先日、俺は彼――鬼道有人に告白した。彼のサッカーに対する気持ちもそうだが、彼は綺麗なのだ。特にサッカーしている時が。

「……はあ」

 あれから鬼道とは話していない。否、俺が避けているだけだ。告白の返事を聞くのが怖いから、というのが一つの理由。もう一つはというと鬼道と俺の実力の差だ。いくら俺が努力していても届かない。それでも俺は練習してる。

 一度だけ「今日の半田は調子がよかったな」なんて褒めてもらって、それが嬉しくて、嬉しくて。それから鬼道を意識するようになったのかもしれない。

「半田?」

「あ、き、……鬼道」

「いつもここで練習してたのか?」

「あ、あぁ。鬼道って帰り道、こっちだったか?」

「いや、今日はたまたまだ」

「そっか」

 たまたまでも嬉しいなんて、まるで恋する女の子みたいじゃないか、と心の中で笑う。

「なあ一緒に練習してもいいか?」

「えっ?」




縮まらないこの差が憎くて
(鬼道と俺じゃ釣り合わないよ)
(たまたまなんて嘘。本当は…)



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