気付いたのは、堕ちたあとだった


 
 怖かった。
 どんどん前へ前へ進んでいくお前たちに置いて行かれることが。大好きな円堂に「必要ない」ってポイと捨てられてしまうことが。


 キャラバンを降り、稲妻町をさ迷っていると、見知らぬ男が近寄って、こう言った。「彼らを見返したい、と思いませんか」と。

「私ならあなたたちに力を与えることが出来る」

 そう言って男が取り出したのは、紫色に淡く光る石。その石の魅力と甘い誘惑に誘われ、俺は―――堕ちた。

 あれから、病院にいる半田やマックスたち、サポートをしようと言っていた杉森たちを巻き込んだ。それなのに今更、

「……これでよかったのかな」

 なんて思ってしまう自分がいた。

 視界がぐにゃり、と歪んで、ぼやけて……あぁ、泣いてるんだなって他人事のように思った。

「俺、どうしたらいいのかな、……教えてくれよ」



気付いたのは、堕ちたあとだった。
(――もう今更とまらない)
 


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