天使のねがい


 
※チームK戦前


 “大丈夫だよ”ってキミは笑う。でも気付いてる?
 そう言ったその声が震えていること。表情(カオ)が今にも泣きそうなくらい歪んでいたことに。

「ねぇ、フィディオ」

 ラファエレたちと別れたあと、僕らはとりあえず辺りをさ迷っていた。マルコたちはどこか泊まれそうなところを探しにいっている。

「なんだい、アンジェロ」

 フィディオは僕を見ながらいつものように笑う。いや、笑えていない。でもフィディオ自身は笑っているつもりなんだと思う。

「フィディオ、辛いの?」

 僕は他の子みたいに隠したりしたい。ストレートに問い掛けてみるとフィディオは驚いた顔になる。ただそれも一瞬で「なんで、わかったの……?」と聞き返された。

「なんとなく。だって今のフィディオ、すごく泣きそうなんだもん」

「はは、あはは……っ。俺、結構、隠してたつもりなのにな」

「……多分、マルコたちも気付いてたと思うよ」

 ただあの子たちはフィディオを気遣って知らないふりしてるけどね。フィディオは「そっか」と返すと、ため息をついた。

「情けないよね、ほんと。仮でもキャプテンなのにね、一応」

「フィディオ」

「なに?」

「泣いてもいいよ」

「大丈夫だから、アンジェ――……」

「みんな、フィディオの笑顔が好きだから、フィディオ自身が好きだから。無理して欲しくないの」

「……」

 フィディオはしばらく黙っていたが「ありがとう」と呟いた。



**************

フィディオはメンタル面弱そう。さすがにあれは傷つくだろ、と。てかラファエレさんだよね、「キャプテンでもないry」って言ったの、ラファエレさんだよね、うん。
 



prevnext



「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -