本当に大切なものだけを


 
※半田が超能力者



 こんなことになったきっかけはきっとこいつを匿ったからだろう。だけど構わん、誰にもこいつを渡したくない、そう思ったから、こうしてるだけなのだから――。


「俺なんかさっさと突き出しちゃえよ。だいたい、鬼道の坊ちゃんがこんなことしてるってばれたら危ないのは……お前だぞ?」

 目の前にいる少年は俺と同い年のはずなのに、なぜかこの時ばかりはどうも年上ようにしか見えなかった。

 第一印象は地味で普通。こいつと約一ヶ月、過ごしていてもその印象はそんなに変わらない。なのに、今のそれは、その印象を覆すくらいの出来事だ。

「そんなもの今更だ。第一、俺が好きでやってることだ貴様が気にすることじゃない」

「――でも、」

「じゃあ聞くが、貴様は一体なんだ? 他人のいいように使われる道具か? 意思なき人形なのか? 違うだろ、お前は半田真一という名がある。つまりは人だ、“生きてる”んだ。道具などではない」

 こいつの茶色の瞳が揺らぐ。
 俺はそんな半田に気づかぬフリをして話を続けた。

「俺にだって鬼道の人間という以前に自分としての存在がある。自分の意思で動いてる。だからそんなくだらないことでいちいち不安がるな」

 ただわかりやすく、「俺について来い」と言ったところでこいつは拒むだろうし、このくらいガツンと言った方がちょうどいい。

「……俺自身の意思なんて考えたことなかったな、今まで。ありがとう、鬼道」

「ふん、礼を言われる理由はない」


 ――さあどこまでも逃げてみようじゃないか。
 本当に大切なものだけを持って。


(今の俺たち二人なら)
(どこまでも逃げられるさ!)



*――――――――――*

支部で素敵なテーマを見かけたのですがまったく添えてないという←

なんか半田くんに特殊能力がある〜みたいな感じっす、はい



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