秘密のプレゼント


 
(……あ、半田だ)

 教室移動で賑わう廊下の中で俺は見覚えのある双葉を見つけた。
 その双葉はぴょこんと彼が動くたびに可愛らしく揺れている。

「おーい、半田」

 呼びかけてみるも、その声は人混みに掻き消されてしまい、当然のように彼が気づいた様子もない。

「……」

 仕方ない。
 学校だし、人がたくさんだし。あまり目立つようなことはしたくないんだけどな。

 俺はうまく人混みを避けながら半田の元に駆け寄る。しかし半田が気づくようすがない。

「半田っ」

 そう呼びかけて軽く肩を叩くと、ピクンと体が震え、顔を真っ赤にした半田が俺の姿を捕らえた。

「風丸……? おい、びっくりさせんなよー」

「悪い悪い。あ、そうだ。ちょっといいか?」

 俺はそう断りを入れると、顔を近づけた。

 あと少しでキスしそうなギリギリの距離。お互いの吐息と心臓の音がしてまるでこの空間には俺と半田しかいないみたいな錯覚に包まれる。

「っ……、バカ、ここ学校だっつーの!」

 顔を真っ赤にした半田が俺の体をドンッと引きはがす。真っ赤にしたまま「ばかっ」と睨みつけると、その場をそそくさと去っていった。

 俺としてはこの結果は満足だ。二人きりじゃみれない半田の姿も見れたし、当初の目的も果たせた。

(さて、ポケットの中にはいつ気づくかな)


 俺は鼻歌混じりに自分の教室に戻った。

*――――――――――*

即席で書いた風半。
付き合った記念日みたいな感じの風半をイメージ
半田のポケットに風丸さんはプレゼントを入れたんですが解説がないとわからないですねorz

お題はDiscolo様からです



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