電波でつながる声と声
「よ、よし……今度こそ……っ」
俺、半田真一は携帯相手に見えない何かと格闘していた。画面には、今は海の向こうにいるアイツの名前と電話番号が写っている。
携帯をギュッと握りしめ、親指は発信ボタンを押すか押さないかで震えていた。
「はーんだっ」
「うわっ、うぎゃ……!?」
後ろから聞き慣れた声と共に、ドンと背中を押された。その表示に俺の親指は発信ボタンを押していたようで、プルル……と発信女が聞こえた。
「おい、松野……っ、ふざけんなよ」
「えー、だってこうでもしないと中途半端クンは愛しいの彼氏クンに電話できないじゃん」
呆れたように言う松野。しかしそれは紛れも無い事実だったので言い返せない俺。
「まったくもー感謝してよね」
円堂たちにはうまくごまかしておくからと言って松野はその場を去った。
(くっそ……あいつよけいなことしやがって。だいたい、一之瀬が出るとは限らねぇしな。あと1コール。1コールで出なかったら切ろう)
ガチャッ
「――あ、もしもし。半田……だよね」
あぁもう!
なんてタイミングが悪いやつなんだ。
「あ、あぁ」
「半田から電話なんて……すっごく嬉しい。俺、幸せかも」
「別に気が向いたらからしただけだっつーの。そんなんで喜ぶなよ、バカ」
「えーなんで? 嬉しいものは嬉しいじゃん」
こいつの愛はストレート過ぎて心臓が持たない。なんかもう恥ずかしくて耳がむず痒い。
「半田は今まだお昼……だよね、こっちは――」
「あ、そうか時差か。わりぃ、大丈夫か」
「半田のためなら大丈夫だよ。だから――」
いつでも電話してよね、待ってるから。
「……そんな楽しみにしてちゃ、しないわけねーだろっ」
*――――――――――*
前も似たような話を書いた覚えがある(・ω・`)
なんか半一っぽいかも
松野は半田をからかう半分応援してる半分みたいな感じ
お題はDiscolo様からお借りしました
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