俺だけのサンタクロース


 
※年齢操作
※半田たち大学生



 サッカー部の同窓会兼クリスマスパーティーは無事、終了した。

 円堂や豪炎寺なんかはこのまま鬼道の家に泊まるみたいだけど、俺は用事があるからと言ってそれを断った。

「そうか。じゃあいいお年を」

「そっちこそ」

 松野がノリ悪いなーなんて言ってるけど、適当に謝って鬼道の家を後にした。





 ――ぶっちゃけ、用事があるなんて嘘だ。ただ、ほんの少しの希望にかけたいだけ。

 もしかしたらあいつが会いに来てくれるんじゃないかっていう希望。でもあいつは有名なサッカープレイヤーになるだろう男だし、人気者だから……来るわけないだろう。

 第一、俺とあいつは別に付き合ってるとか……そういう仲じゃないし。ただの俺の一方通行だし、あいつとは少し文通をし合う仲ってだけ。

「……ばっかみてぇ。だったら鬼道の家にいればよかったかな……」

 ふわり。
 頬に冷たいものが当たり、空を見上げると雪が降り始めていた。

「あっ、いたいた。半田ー」

「え?」
 嘘だ。
 あいつがここにいるわけない。だってあいつはアメリカにいて、土門たちや女の子たちに囲まれてるはずだ、こんなとこにいるわけがない。

「ねぇ、無視しないでよっ」

「……一之瀬」

「久し振りだね。もーびっくりしたよ。鬼道の家に行っても半田は帰ったって言うし……」

 一之瀬は「探したんだからね」なんて困ったように笑いながら言う。

「そうそう。半田、手紙ありがと、うれしかったよ」

「あ、あぁ……。それより一之瀬、こんなところに来て大丈夫なのか?」

「だって今日は半田と一緒にいたかったんだもん。だから大丈夫だから」

「……そ、そうなんだ」

 勘違いしそうになる甘い言葉にくらくらしそうになる。さっきまで寒くて仕方なかった体も急に熱くなった気がする。

「Merry X'mas! これ半田にプレゼントだよ」

 俺の手の平に、オシャレにラッピングされた小さな箱を渡す。

「開けてみてよ」

 一之瀬に催促され、俺はプレゼントのラッピングを解く。

 中から現れたのは、シルバーリング。

「好きだよ、半田。大好き」


 女子がクラッとしそうな笑顔を浮かべながら一之瀬は左手を見せる。

 ――薬指輪にはお揃いのシルバーリングがキラリ、と光っていた。

「これからはもう一緒だよ」
 


*―――――――――――*


半田さんの片思いに見えて実は両思いでしたってやつ。
半田さんは頑張って英文科とかに通ってたりっていう蛇足。
 


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