※未来設定
一半は別れてる
一之瀬の相手はお任せします
大丈夫だ。大丈夫。
心の中でそう言い聞かせる。何度も練習したんだ。ちゃんと一之瀬に言える、大丈夫。
「……半田。無理すんなよ」
隣に座っていた土門が心配そうに言うが、俺は「大丈夫」と笑顔で返した。
しかし土門は納得がいかないのか怪訝そうに俺を見る。まあ当然であろう、だって土門は俺と一之瀬が以前、付き合っていたのを知っているから。
「……だって、こうすんのが一之瀬の為じゃん」
だからこその決断だ。
正直、今もまだ俺は未練たらしく一之瀬を愛している。
だけど、それじゃダメだ。
早く解放してあげないと。
“俺”っていう存在から。
「それに、知ってたか土門? あいつってば酷いんだぜ。俺のこと好き好き大好きなんていいながらも――のこと見てたんだぜ?」
「半田……」
「自分から動かないから俺が動いただけ。一之瀬が好きだから、あいつの幸せを壊したくなかったんだ」
なにか言いたげな土門を遮るようにそう口にした俺。
好きなやつの幸せを守るためならこれは仕方ないんだ、だから――
(好きだ、大好きだよ、一哉)
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